「好き」って言ってよ！
まずはマーメイドドレス姿の彼女の手を握ると、
「本当にありがとうございます！」
と、お礼を言った。

「えっ、あの…」

「あなたが彼を寝取ってくれたうえに引き取るとまで言ってくれて本当に感謝しています！

私のことはどうぞお気になさらずに彼とお幸せになってください！」

「あ、あの…」

何か言いたそうな彼女の手を離すと、隣にいる青葉に視線を向けた。

「青葉様、私のことは記憶の片隅に…何だったら記憶から追い出してくれていいんで、隣にいる彼女と幸せになってください！

たくさんの子供を産んで幸せな家庭を築いて、これからの日本の経済界を支えてください！」

「な、奈帆、話だけでも…」

同じく何か言いたそうな青葉を奈帆は無視すると、彼らから離れた。

「それでは皆様、バイバイキーン！」

奈帆は大きく手を振ると走って会場を後にした。
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