地味系男子が本気を出したら。
「ねぇ大ちゃん、昔約束したこと覚えてる!?」
「約束?」
「大きくなったら蜜柑と結婚してって約束!」
そんな約束したっけ!?
全然記憶にない…。
「ねぇ結婚してくれるよね!?」
「ええっと…」
薄っすら思い出したけど、それこそ蜜柑ちゃんが幼稚園児くらいの時に言われたような気もするな……。
でも、
「ごめんね、僕には」
「大志」
「桃!」
「お待たせ」
もう大好きな人がいる。
「ううん、待ってないよ。紹介するね。
僕の従妹の蜜柑ちゃん」
「初めまして。春日井桃乃よ」
「蜜柑ちゃん、僕の彼女だよ」
「えっ!?彼女!?」
「だからごめん、その約束は守れないや…」
子どもの頃とはいえ、浅はかな約束をして申し訳ない。
でも蜜柑ちゃんといえど、この約束は守れないんだ。
「〜…っ、桃乃さんっていったよね?」
「え、ええ」
「今日一日は蜜柑に大ちゃん貸して!!」
「「えっ!?」」
突拍子もないことを言い出した蜜柑ちゃんは、僕の腕にギュッと抱きつく。
「蜜柑ちゃん!?」
「お願い、今日だけ…!そしたら諦めるから!」
懇願されるように見つめられ、ダメとは言えず…チラリと桃を見る。
「桃、いいかな…?」
「…わかったわ。もちろん私も一緒には行かせてもらうけどね」
「うんっ!いいよね、蜜柑ちゃん?」
「わかった。ありがとう!!」