地味系男子が本気を出したら。


…でも、それだと大志に誘われるの待ちよね。
私自身はどうしたいのかしら……。


* * *


放課後、咲玖とショッピングモールに来た。
もうクリスマス一色という感じだ。


「何がいいかなぁ」

「そういえば九竜、全国大会で優勝したんでしょ?」

「そうなの!だからそのお祝いもしたくって」


元からすごい人だとは思ってたけど、1年でいきなり全国制覇は尋常じゃないわよね。
本当に頑張ってるんだと素直に尊敬する。


「やっぱり部活で使えるものがいいかなぁ」

「そうかもね」


まあ、咲玖がくれたものならなんでも喜びそうだけどね、あの男。


「桃ちゃんは大志くんに何あげるの?」

「そうねぇ…イヤホンケースとかかしら」


大志はよく音楽聞くし、今でもビンゴの景品だったワイヤレスイヤホンを愛用してるみたいだから、使ってもらえそう。


「いいねぇ!」

「いいのがあるといいけど」

「あっ!これとかかわいいよ」


咲玖が見つけたのはくまの形をしたイヤホンケース。
ゆるいデザインがかわいいけど、大志は好きかしら?


「あ、こっちのくまさん、メガネしてる」


同じシリーズで別デザインのそれは、くまが赤いメガネをかけているというなんだかシュールなもの。
でも絶妙にかわいいし、なんだかメガネをかけてた大志に似てるわ…。


「これにしようかしら」

「いいと思う!」


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