地味系男子が本気を出したら。
* * *
クリスマスイヴ当日。
イルミネーションを一緒に見に行くことになっていて、待ち合わせ場所の駅前で待っていた。
待ち合わせ時間より10分も早く到着してしまった。
周りには私と同じように、誰かを待っている人がたくさんいる。
友達と待ち合わせている人もいるけど、そのほとんどが恋人と待ち合わせているのでしょう。
カップルらしき男女が並んで歩き、光の道の中へ溶け込んでいく。
私は大志にLIMEで「この辺りにいます」と写真付きで送った。
人が多いからわからなくなりそうだしね。
白い息を吐きながら、大志の到着を待った。
待ち合わせの定刻になったけど、大志は来る気配はないしLIMEも既読が付かない。
もしかしたら、電車が遅れているのかも。
でも、5分過ぎても10分過ぎても大志は現れない。
電話をかけてみても、繋がらない。
LIMEの既読も付かない。
――何かあったのかしら……?
「ねぇ、良かったら一緒に食事でもしない?」
突然知らない男性に声をかけられた。
まさか私に言っているのではないだろうと、無視を決め込む。
「君だよ。さっきからずっと一人だよね」
「…彼氏待ってるので」
「でも、来ないじゃない」
「……」
「君みたいなかわいい子待たせるとか酷くない?もう来ないかもよ?」
「…っ、ほっといて!!」