地味系男子が本気を出したら。



そんなことない、大志は来るわ。
きっと何かあったのよ……。

もう一度スマホを見るけど、やっぱり連絡はきてない。
どうして?
なんで連絡してくれないの?

大志はドタキャンするような人じゃない。
絶対何かあったんだわ…。

家に電話したいけど、家電知らない。
今から戻って、大志の家に直接行ってみる?


「ねぇねぇ…、」
「どいて!!」


ナンパ男を振り払い、私は走って駅に戻った。

考えたくもないけど、事故に遭ったわけじゃないわよね……?

しかし、駅のアナウンスが人身事故で一時的に運行中止と知らせていた。
改札前には電車に乗れず、往生している人たちで溢れ返っている。

まさかと思うけど、この人身事故って…ううん、そんなわけない。


「大志…っ」


父の帰りを待っていても、帰って来なかったイヴのあの日を思い出して、心がちぎれそうになる。
大志を信じたいのに、不安な気持ちが押し寄せる。

前に進みたいと思ったのに、どうして……っ。

お願い、大志。無事でいて。
早く会いに来て――…!!

あなたがいなかったら、私は――



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