地味系男子が本気を出したら。


「だから、俺はだけど…諦めない努力をすると思う」

「そっか、蒼永くんはやっぱりカッコイイね……」


お世辞じゃなく、心からそう思った。

いつも真っ直ぐにさっちゃんのことを想ってるところ、それを隠そうとしないところ。
僕にとっては全部が眩しく思える。


「いいなぁ、蒼永くんみたく自信が持てたらいいのに。
蒼永くんみたく髪がストレートで綺麗だったら、もう少し自信が持てたのかな」


自分のクルクルした天パの髪をいじる。


「大志は、誰かに気持ちで負けてると思う?」

「え?」

「他の誰かに、春日井が好きな気持ちで負けると思う?」


――その答えは、自分でも驚くほど即答だった。


「思わない!
だって、すっごく好きだもん!」

「…じゃあ、自信あるじゃん」


初めて蒼永くんが僕に向かって笑いかけた瞬間だった。
そして、その言葉にものすごく救われた。

そっか、こんな僕でも自信が持てること、あったんだって――…。

なんだか、勇気が湧いてきた。


「ありがとう、蒼永くん。僕も諦めずに頑張ってみるよ!」

「…ん」

「蒼永くんと友達になれてよかった!」

「そう」


具体的にどうしたらいいかはわかってないけど、でも勝手にフラれたと悲観するのはやめよう。
僕の恋は、まだ始まったばかりなんだ。


「…それにしても、なんで男が信用できないんだろう」


< 29 / 168 >

この作品をシェア

pagetop