地味系男子が本気を出したら。


春日井さんって、ものすごくクールだな……。
このクールな雰囲気が他の子と違って大人っぽく感じる。

雰囲気だけじゃなく、キリッとした凛々しい瞳に長いまつ毛、サラサラのストレートの綺麗な髪。
見た目も女神そのものだ。

今日は2学期初日なので始業式が終わったら、もう下校になる。
放課後に春日井さんが学校を案内してくれることになった。


「桃ちゃーん!」


そこへさっきの女の子と男の子がやってきた。


「わたしも一緒に行く!」

「あら、そう」

「黄瀬くん、初めまして!わたし白凪(しらなぎ)咲玖(さく)っていうの。
こっちは幼なじみの九竜(くりゅう)蒼永(あおと)。よろしくね!」

「…よろしく」

「よ、よろしくねっ」

「咲玖はともかく、九竜も来るの?」

「咲玖が行くから一緒に行く」

「…あなたはそういう人だったわね」


そんなわけで、この三人に学校案内をしてもらうことになった。


「学校案内って探検みたいでおもしろいね〜」
「そうだね」
「…そうかしら?」


白凪さんはほんわかしているけど、天然なのかとてもマイペース。
九竜くんはあんまり喋らないし、表情も変わらないので何を思ってるのかわかりにくい。でも、目鼻立ちが整っていてすごく綺麗な顔をしている。

そしてクールで大人っぽい春日井さん。
なんかバラバラな三人だなぁ…。


「あの、白凪さんと九竜くん?さっきは、ありがとう…」


勇気を出して、お礼を伝えた。


「ん?何のこと?」

「じ、自己紹介で…」

「ああ!だってわたしもちゃんと聞こえたから!」


白凪さんはニコニコして答えた。


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