地味系男子が本気を出したら。


蒼永くんのその疑問に、はたとした。


「そういえば、なんでだろう……?」


恋愛に興味がないのは他にもそういう子がいるけど、男の人を信用できないなんて……。
男の先生とは丁寧に話してるし、多分男の人が苦手なわけではないと思うんだけど。

その理由が知れたら、もっと君に近づけるかな……?


「おまたせーっ!」


さっちゃんと春日井さんが戻ってきた。
サブレの袋以外にも色々買い物したみたい。


「おかえり。いいのあった?」

「うん!みてみて!」


さっちゃんが見せたのは、風車の形をした根付けだった。
色違いでピンク、白、青、黄色とある。


「かわいかったからみんなの分も買っちゃった!
一緒に鎌倉に来た記念!」

「わあ、かわいいね。いいの?」

「咲玖が買うって聞かないのよ」

「ありがとう」


お金はそれぞれで出すことになり、さっちゃんにお金を払う。小銭持ちになったと謎に喜んでいたのが、さっちゃんらしいなと思った。

僕は黄色の風車をもらった。
友達とお揃いのものを持つことも初めてだったから、すごく嬉しい。

風を受けてカラカラと回る風車。
強い向かい風を受ける程、力強く回転する風車のように、僕の恋心も誰にも負けないくらい強いものなんだ。

いつかその想いを君に届けられる日が来ますように。


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