地味系男子が本気を出したら。


蒼永くんにそう言ってもらえたことはすごく嬉しかったから、寂しかったけど笑顔で見送った。
留学を機にスマホを買ってもらったそうなので、たまに連絡すると約束した。

さっちゃんは、僕たちの前では笑ってるけど、本当は一番寂しいはず。
クラス替えくらいで悲しんでちゃダメだ。


「さっちゃん!僕たちだけでも頑張ろうね!」
「大志くん…!大志くんがいて心強いよ…!!」

「…はあ。
黄瀬くん、私からも咲玖のこと頼むわね。この子のお守り」

「わたしお守りされる側なの!?」


そんなわけで春日井さんは自分のクラスに行き、僕たちも新しい教室へ向かった。


「はー…、緊張するね」

「僕は転校した時の方が緊張したかな」

「あ、そっか」

「さっちゃんたちが友達になってくれて、ほんとによかったよ」

「わたしもだよ」

「新しい友達できるといいね!」

「そうだね!」


この前親に、転校してから明るくなったねと言われた。
確かにさっちゃんたちと出会ってから、毎日学校に行くのが楽しかったし、前向きになれたような気がする。

自分に自信がなかったけど、蒼永くんに言われてからは自信を持とうと思えるようになったし。

だからこそ、クラスが離れてしまったのが残念なんだけど……。


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