地味系男子が本気を出したら。
「さっちゃんって、蒼永くんと許嫁同士ってこと、どう思ってるの?」
蒼永くんは本気でさっちゃんのことが好きなのはわかるんだけど…。
さっちゃんは蒼永くんに恋してるって感じでもないし、かと言って許嫁が嫌って感じでもなさそうだし。
「それ、私も聞きたいわ」
珍しく春日井さんも前のめりになった。
「どうって言われても…」
さっちゃんはうーん、と小首を傾げる。
「さっちゃんは蒼永くんのこと好き?」
「うん、好き」
「じゃあ、結婚したいって思う?」
「うーん、わかんない」
「でも結婚するのよ?許嫁ってそういうことでしょ?」
「そうなんだけど、まああんまり今と変わらないかなぁって」
変わらない、かなぁ……?
思わず春日井さんと顔を見合わせてしまった。
「今は違うけど、ずっと一緒にいるし今も家族みたいな感じだから。苗字が変わるのかなぁってくらい?」
「「……。」」
「あれ?どうかした?」
僕たちはさっちゃんに背を向けてコソコソする。
「やばいわよ。あの子、何にもわかってないわ」
「僕もここまでとは思ってなかった…」
「今から熟年夫婦みたいな感じでいいの!?」
「多分良くない…」
だって、絶対蒼永くんはそんな風に思ってないもん……。