地味系男子が本気を出したら。
恋の向き合い方 side.桃乃
恋愛してる人たちを否定するつもりはないけど、私の人生に恋愛なんて必要ない。
そう思っていたのに、あなたが私の心に割り込んだ。
「僕は絶対に離れないよ」
「僕は初めて会った時から、春日井さんのことがずっと好きです」
「この先も一生、春日井さんのことが好きだと思う」
真っ直ぐな目をして、あなたはそう言い切った。
あなたの真っ直ぐが、私にはただ眩しかった。
私たち、まだ子どもじゃない。
どうして「絶対」だなんて、「一生」だなんて言い切れるの?
うちの親もそう、結婚した時は永遠の愛を誓ったはずだった。
でも、結局別れたわ。
愛なんて一過性のもの。
いつか冷めてなくなるものなのに。
裏切られるくらいなら、最初から恋なんてしたくない。
最初はオドオドしている人だなと思ったけど、話すうちに優しくてよく周りを見ている人だと思った。
姉のことをあんな風に言った人は、彼が初めてだった。
悪く言われることは何度も聞いてきたけど、姉が努力家だなんて…私でさえ思ったことがなかった。
父親のことを話しても、ただ何も言わずに聞いてくれた。
引かれてもおかしくなかったのに、ただ寄り添ってくれた。
黄瀬くんのそういう…包み込むような優しさに甘えてしまう自分がいる。
それは認めてる。
だけど、だからこそ…友達のままでいたいの。
黄瀬くんを失いたくないから――…