地味系男子が本気を出したら。
「しっかり者で頼り甲斐があって、正義感が強いところ」
「っ!」
「さっちゃんのことがほっとけなくて、いつも心配してる面倒見の良いところ」
「ちょっと…」
「周囲に気を配れるところ、お母さんを大事に思ってるところ」
「ちが、」
「優しくて、かわいいところ」
「…っ、違うわ!!」
思わず、大声をあげてしまった。
「違うのよ、私はあなたが思うような人間じゃない……。
本当の私は、冷めてて臆病で…ひねくれててずるい人間なの……っ」
お願いだから、そんなに真っ直ぐ私を見ないで。
あなたに真っ直ぐ見つめられる度、苦しくなる。
「……わかってるよ。本当は繊細で弱い部分もあること。
でもね、僕は君のそういうところも引っくるめて、全部好きなんだ」
「なんで…」
「なんでって言われても、そこもかわいいと思ってしまうんだよね」
かわいいだなんて、そんなこと……
私には一番似合わない言葉だと思ってた。
かわいいが似合うのは、いつだって咲玖やお姉ちゃんだと思っていたから。
「ねぇ春日井さん、完璧な人なんていないよ。
僕だって欠点ばかりだし、自分に自信なんてなかった。
だけど、春日井さんに恋して変わりたいと思ったんだ。
君が自信をつけてくれたんだよ」