地味系男子が本気を出したら。
◆season7:中1夏
火花散らす校外学習
今日は学年全体の校外学習。
地元から少し山の方にあるキャンプ場で班ごとに飯盒炊爨をします。
飯盒炊爨って、みんなで協力して作るものだと思うのだけど。
「桃乃ちゃん!重いものは俺が運ぶから任せてね」
「桃!野菜の皮剥き終わったよ」
「……、ありがとう」
「お米炊く準備もしておくね!」
「僕は野菜切り分けておくから!」
「…ええ、助かるわ」
さっきから常盤くんと、どっちが役に立てるのかの対決みたくなってる。
僕は料理には自信ある方だから、尚更負けたくない。
熱くなるのは自分らしくないと思いつつ、負けられないんだから仕方ない。
「大志くん、私も手伝うよ」
「ありがとう、さっちゃん。にんじん切ってくれる?」
「わかった!」
包丁を手に取ったさっちゃんは、勢いよくにんじんを切り落とし、そのまま指も切ってしまった。
「い、いたい…」
「さっちゃん、血が出てる…!」
「もー!何してんのよ!」
すぐに傷を洗わせ、桃が絆創膏を持ってきてくれた。
「ありがと桃ちゃん〜。ごめんね!」
「私が代わるから、咲玖は常盤くんのこと手伝ってきて」
「はーい…」
さっちゃんから包丁を受け取った桃は、トントンとテンポ良くにんじんを切っていく。