地味系男子が本気を出したら。


流石に飯盒炊爨に支障を片すので、一時休戦してカレー作りに集中した。
ごはんは若干焦げていたけど、このお焦げがまた美味しかったりするので、これはこれでアリだと思う。


「美味しかった〜!」

「ごちそうさま」

「片付けは私がやるね!」

「あっさっちゃん、お鍋は重いから…」


僕がやるよ、と言おうとするより先に、お鍋を持ち上げようとしたさっちゃんが何かに蹴躓いて転び、鍋はカレーと泥まみれになった。


「やってしまった…」

「大丈夫さっちゃん!?」

「咲玖、擦りむいたんじゃないの?」

「ごめんなさい…」

「やっぱり膝擦りむいてるじゃない!朝陽、救急箱もらってきてくれる?」

「任せて!」

「お鍋は僕が洗っておくね」

「ありがとう!」

「ごめんね、大志くん〜〜」


いやぁ正直、空気がギスギスしないから助かるんだよなぁとは流石に言えない……。
ドジと怪我が続いてるさっちゃんは落ち込みモードだ。


「私ってほんとにダメダメだよね…ごめん、桃ちゃん…今日ずっと浮かれてるの」

「そんなに校外学習楽しみだったの?」

「それもそうなんだけど、桃ちゃんと大志くんの距離が近いから…」


お鍋を洗いながら、ドキッとした。


「桃ちゃん男子嫌いなのかなって思う時あったから、仲良くしてるのが嬉しくて」


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