地味系男子が本気を出したら。
お皿を洗っている時、さっちゃんに尋ねた。
「さっちゃん、僕のことも親友だと思ってくれる?」
「えっ、そんなの当然だよ!」
「ありがとう。そしたら、いつかさっちゃんに聞いて欲しい話があるんだ。
その時は聞いてね」
「わかった!」
その時は、蒼永くんにも良い報告ができるといいな。
僕にとって二人は、大切な親友だから。
でもごめんね、さっちゃん。
桃とは友達や親友じゃ足りないんだ。
「そういえば桃ちゃん、常盤くんのことも下の名前で呼んでたね」
そういうところはちゃんと気づくんだよね。
「常盤くんから名前で呼んでくれって言われたみたいだよ」
「そうなんだ」
恋愛に関してはどうしても疎いのか、その意図には気づかないところがさっちゃんらしい。
…ふと思ったけど、僕と常盤くんだったら、さっちゃんは僕のこと応援してくれるのかな。
さっちゃんなら応援してくれそうだけど、これは僕自身で頑張りたいことだから、言わないでおこう。
三人でいる時間も大切にしたいし。
「黄瀬くん、ちょっといい?」
急に話しかけてきたのは、隣のクラスの女子二人組だった。
喋ったことのない子たちだけど、ジャージのワッペンに書かれた数字で隣のクラスだとわかる。
「えっと、僕に何か用?」
「話があるの。時間もらってもいいかな?」