地味系男子が本気を出したら。


その時、急に空から雫が落ちてきたと思ったら、ポツポツと雨が降り出す。
そのまま雨は、ザーザーという音を立てて強さを増した。


「バスに乗ってください!早めに出発します!」


この状況なら見知らぬ男子との約束は、どっちみちダメだろう。
雨のおかげで助かった。

なんて安堵していたら、急にピカッと空が光り、数秒遅れてゴロゴロピシャーン!という大きな音が轟く。


「雷だ!!」

「しかもこの音の大きさ、近いね…早く戻ろっか」

「うん!」


桃たち、大丈夫かな……。
もう戻ってるといいんだけど……。


「いやーーーー!!雷怖いよぉ……!!」

「と、常盤くんっ!?」


雨に濡れてびしょ濡れになった常盤くんが、切羽詰まった表情で駆け戻ってきた。


「急に光ってゴロゴロ鳴るからびっくりしたよ!!雷って打たれると死ぬんだよ!?」

「し、知ってるよ…」

「常盤くん、びしょ濡れだね!大丈夫?」

「大丈夫!水も滴るいい男って言うだろ?」

「うん…?そうだね??」


常盤くん、雷の恐怖からなのか、さっちゃんがいるのにナルシストが出ちゃってる……。

いや、そんなことよりも。


「常盤くん、桃は?一緒にいたんじゃないの?」


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