地味系男子が本気を出したら。
夜空に咲く花火を君と
「テスト終わったーー!!」
「夏休みだーー!!」
中学初の定期テストが終わり、いよいよ夏休みということでクラスみんな大はしゃぎだ。
そういう僕も結構浮かれてる。
テストは自分でも納得の出来だったし、心置きなく夏休みを迎えられる!
「何とか赤点は回避できたけど、数学苦手だよ〜。桃ちゃん教えて〜」
「いいわよ」
桃は流石の成績優秀で総合順位は5位以内。
得意の数学は百点満点だし、まだまだ負けてられないなぁ。
「ところで!二人とも花火大会に行かない!?」
流石さっちゃん、切り替えが早い。
「花火大会?」
「地元のやつ!ママが中学生になったから友達と行ってきていいよって!」
「僕は行けるよ」
「私もいいわよ」
「やったぁ!どうしよ、他に常盤くんとか誘ってみる?」
何気なく口に出したその名前に、僕と桃は一瞬言葉が詰まる。
「常盤くんは、やめておきましょう。
サッカー部は夏休みも練習が多くて忙しいだろうから」
「そっか、じゃあ三人でもいいかな?」
「うん、そうしようか」
…実は、校外学習の直後、桃は改めて常盤くんをフったらしい。
雷に怯えて一人だけ逃げてしまったことが原因ではないみたいだけど、「友達以上にはなれない」とはっきり断ったのだそう。
僕はそのことを常盤くん本人から聞いた。