婚活
「この私にしては、結構話しを切り出すのにも勇気がいったんだけどさ……。それなのに じゃぁって有り得ないよ。もし、このままあの人と結婚しても嬉しい報告の時に、じゃぁって言われたんだっけって、きっと一生忘れない言葉になっちゃうと思うと、万が一、産まれてきた子供にお父さんはその時、何て言ったの?と聞かれて、じゃぁ、結婚しようかって言われたとか、絶対、私は親として自分の子供に、父親の取りようによっては無責任な言い方だった事なんて言えないもん。子供が出来たから仕方なく結婚したの?と聞かれたら、返事のしようがないし」
朋美がそこまで考えてたなんて……言葉って難しい。時に、一生の問題になってしまう事もあるのかもしれない。朋美に今、何と言ったらいいんだろう。もし、本当に妊娠してたとわかっても、朋美はきっと産まないだろう。そういう子だから。私に心の内を吐露してくれた朋美は、少しだけ肩の力が抜けたように見受けられる。まず、どうしたらいいんだろう?そうか!
「と、とにかく朋美。病院に行って調べてみよう。私も一緒に行くからさ」
「うん。今度の土曜日に、行ってみようと思うんだけど……」
「土曜日?」
今度の土曜日は、未来王子と、裕樹と和磨と紅葉見物……。でも、今は朋美が最優先だ。
「珠美。何か用事あるんじゃない?」
「ううん、大丈夫。まだ決まってないから、それは日を改めればいい事だし」
紅葉は、日を改めるわけにはいかない。お天気が悪ければまた別だが……。諦めるしかないけれど、でも朋美の事は、それとこれとは比べものにならないぐらい、大事な事だもの。未来王子の方は、それこそ日を改めてもらおう。朋美とまずは病院に行って検査をして、その結果でまたこれからの事を考えようという事にして、カフェを後にした。
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