婚活
土曜日だから、周りはデート中のカップルが目に付く。いいなぁとはあまり思わない。今の暮らしを続けられて、生活レベルを下げず、それで結婚出来たらなんて思っていると、本当に一生出来ないかもしれない。何を買うでもなく、デパート内を見て歩く。それでも二時間もいれば人混みに酔って、建物から外に出た。晩秋の陽は短い。もう太陽は傾き、だんだん夕方の気配を醸し出している。帰ろうかな?足が疲れてカフェでお茶を飲み、外に出るともう薄暗かった。
「あれ?沢村……さん?」
エッ・・・・・・?
誰かが私の名前を呼んだので、周りをキョロキョロする、知った顔が近づいてきた。
「加納さん」
いつか電話で自分なりのけじめをつけた、加納さんの姿がそこにあった。
「久しぶり」
「お久しぶりです」
何でかな?加納さんと居ると、安堵している自分が居る。何に安堵してるのかと聞かれても、答えられないのだけれど、不思議と素直になれる自分が居た。
「買い物?」
「えっ?あっ、まぁ……そんなところです。加納さんは?」
見たところ、加納さんも一人のようだった。
「あぁ、俺はちょっと本を探しにね」
そう言うと、加納さんは手に持っていた書店の袋を掲げて見せた。
本……。そう言えば、最近、本も読んでない。持ち歩く事は ち歩いているが、読みかけの文庫本が出番なく今日もバッグの底で眠っている。
「沢村さん」
「えっ?」
加納さんの声でバッグの中の文庫本を思い出していた私は我に返り、焦点を加納さんに集中させた。
「……」
加納さん?
その後、何も言わない加納さんに違和感を覚えた。いつもというか、今までの私の知っている加納さんは、口籠もる事など一度もなく、穏やかな表情でストレートに物事を言う人だったはず。
「加納さん?どうかしましたか?」
「お茶でも飲もうか?」
エッ……。
急に親しげに話し掛けてくれた加納さんの言葉が、少し嬉しかった。断る理由もないし……。
「い、いいですね。何処かこの辺でいいお店ご存じですか?」
何となく断れなかった。断ろうと思えば断れたのかもしれない。でも加納さんの醸し出す空気がいつもと違って見えたので、それが少し気になった事もあった。結局、お茶ではなく時間的にも夕方だったので軽く飲もうという事になり、加納さんが知っているという近くの居酒屋に入った。
「最近は、どう?あれから婚活は進んだの?」
「あれ?沢村……さん?」
エッ・・・・・・?
誰かが私の名前を呼んだので、周りをキョロキョロする、知った顔が近づいてきた。
「加納さん」
いつか電話で自分なりのけじめをつけた、加納さんの姿がそこにあった。
「久しぶり」
「お久しぶりです」
何でかな?加納さんと居ると、安堵している自分が居る。何に安堵してるのかと聞かれても、答えられないのだけれど、不思議と素直になれる自分が居た。
「買い物?」
「えっ?あっ、まぁ……そんなところです。加納さんは?」
見たところ、加納さんも一人のようだった。
「あぁ、俺はちょっと本を探しにね」
そう言うと、加納さんは手に持っていた書店の袋を掲げて見せた。
本……。そう言えば、最近、本も読んでない。持ち歩く事は ち歩いているが、読みかけの文庫本が出番なく今日もバッグの底で眠っている。
「沢村さん」
「えっ?」
加納さんの声でバッグの中の文庫本を思い出していた私は我に返り、焦点を加納さんに集中させた。
「……」
加納さん?
その後、何も言わない加納さんに違和感を覚えた。いつもというか、今までの私の知っている加納さんは、口籠もる事など一度もなく、穏やかな表情でストレートに物事を言う人だったはず。
「加納さん?どうかしましたか?」
「お茶でも飲もうか?」
エッ……。
急に親しげに話し掛けてくれた加納さんの言葉が、少し嬉しかった。断る理由もないし……。
「い、いいですね。何処かこの辺でいいお店ご存じですか?」
何となく断れなかった。断ろうと思えば断れたのかもしれない。でも加納さんの醸し出す空気がいつもと違って見えたので、それが少し気になった事もあった。結局、お茶ではなく時間的にも夕方だったので軽く飲もうという事になり、加納さんが知っているという近くの居酒屋に入った。
「最近は、どう?あれから婚活は進んだの?」