婚活
「珠美。そしたら、ヴァンサンカン・トリオで来ればいいジャン。どうせ集まるっていったって、大した話しはしないんだろ?」

まぁ、確かに大した話しはしないけど……。何でいきなり飲みに行くって、和磨ったら何考えてんだろ?

「それじゃ、熊谷さんと俺は、取り敢えず終わったらどっか居酒屋に居るから電話しろよ」

「それよりは……」

エッ……。

和磨と私の会話に、熊谷さんが割って入った。

「もう今場所決めといて、そこに沢村さん達が来ればいいんじゃないのか?もし都合が悪ければ、 の時点で連絡もらえばいいことだし。場所は……そうだな。マウンテンビルの7階でどうだ?」

「あっ、そうですね。それじゃ、珠美。マウンテンビルの7階に終わったら集合な。もし来れないようだったら、連絡しろよ」

「う、うん。わかった」

「それじゃ」

「失礼します」

先にお店を出て行った和磨と熊谷さんの後姿を、ボーッと目で追っていた。
何でまた、和磨とその上司の熊谷さんと飲みに行く事になったんだろう。まぁ、それは話しの流れとして……。だけどあの決断力といい、冷静さといい、これヤバイよ。熊谷さんは、きっと朋美の上司だよな。

ファイルの選択もそこそこに朋美にメールを打つと、すぐに電話が掛かってきた。

「今トイレからなんだけどさ。何?熊谷と白石と飲みに行くって、いきなりどういう事?」

朋美に事の経緯を話し、何故か飲みに行く事になった旨を伝えた。

「ふ~ん……。まぁ、いいけどさ。でもあの熊谷が、よくOKしたわよね」

「えっ?だって向こうから言い出したっていうか、和磨が言い出したんだけど熊谷さんも、 二つ返事だったわよ」

「そうなんだ。そしたら取り敢えず、終わったらいつもの待ち合わせ場所に向かうから。詳細は、その時に」

「わかった。それじゃ」

不思議とこういう時は、仕事が捗ったりするもので、俄然張り切りながら定時上がりを目標に片っ端から仕事を片付け待ち合わせの場所に向かうと、朋美はもう来ていたが由佳は まだ来ていないようだった。

「それにしても、あの熊谷が二つ返事で飲み会に来るなんて珍しい事もあったもんね。さては、噂の彼女と上手くいってないのかな?」

エッ……。

熊谷さんって、彼女居るんだ。そうだよな……。あの容姿だったら、彼女が居るのが当たり前だよ。

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