婚活
冗談じゃない。何で和磨とあの子のデートだか何だかしらないけど、それに私が付き合わなきゃいけないのよ。和磨は、本当にあの子と付き合うの?和美って子の事は、もういいんだろうか?何だか頭の中が、ごちゃごちゃだ。あの子が言ってたけど、この歳になると やっぱり本人の口から聞かないと信じられないというか、勝手に外野が言ってるぐらいにしか思えなくなってきているので、もし、万が一、あの子が言ってた事が真実だとしたら尚更、和磨から直接聞きたかった……。
教員になるためのレクチャーか。でも何で和磨はその事を私に隠していたんだろう?別にあの久美子って子と教員になるための準備をしてると聞かされても、私は何も言わないのに。
洗濯石鹸がちょうどいい重さで薬屋の袋を振り回しながら、どんどん遠心力が掛かって 袋が廻る速度が増している。まるで、目まぐるしく変わる最近の私の環境みたい。袋を振り回すのをやめると、その反動で袋が右手の周りを一回転して手首に絡まった。クシャッという何とも言えない音が妙に耳に残り、ビニールの袋を見つめた。コントロールを失うとこんな事になっちゃうのか……。
「何、ボーッとしてんだよ」
「和磨……」
そうだった。さっきあの子が言ってた。ファミレスで待ち合わせしてと。
「あっ。さ、さっきあの子に会ったわよ。これからファミレスでデートなんだって?」
「あぁ……」
和磨?
和磨はただ肯定しただけで、まるでうるさそうに私の横を通り過ぎていってしまった。てっきり言い返してくると思ってたのに、和磨はあっさり認めただけでなく、私なんて眼中にないといった態度で通り過ぎて行った。
「和磨」
遠ざかる和磨の背中に向かって呟くように名前を呼んでみるが、和磨は一度も振り返る事はなかった。そうなんだね。和磨が遠ざかる背中をずっと見つめながら、その背中が何を訴えているのかが理解出来た気がした。和磨は、あの子と本当に付き合うんだという事を……。
家に帰ってからも、先ほどの和磨の後ろ姿が目に焼き付いて離れない。あの子、嬉しそうだったな。きっと長年の和磨への想いが通じて、幸せな気持ちで和磨に会いに来たんだろう。その気持ちに応えるようにして、和磨はあの子に会いに行った。
「俺には自分の気持ち偽らないで言ったとしても、何ら問題もないと思うけど?……心が泣いている時は、人肌に温まるのがいちばん効果的なんだよ」
教員になるためのレクチャーか。でも何で和磨はその事を私に隠していたんだろう?別にあの久美子って子と教員になるための準備をしてると聞かされても、私は何も言わないのに。
洗濯石鹸がちょうどいい重さで薬屋の袋を振り回しながら、どんどん遠心力が掛かって 袋が廻る速度が増している。まるで、目まぐるしく変わる最近の私の環境みたい。袋を振り回すのをやめると、その反動で袋が右手の周りを一回転して手首に絡まった。クシャッという何とも言えない音が妙に耳に残り、ビニールの袋を見つめた。コントロールを失うとこんな事になっちゃうのか……。
「何、ボーッとしてんだよ」
「和磨……」
そうだった。さっきあの子が言ってた。ファミレスで待ち合わせしてと。
「あっ。さ、さっきあの子に会ったわよ。これからファミレスでデートなんだって?」
「あぁ……」
和磨?
和磨はただ肯定しただけで、まるでうるさそうに私の横を通り過ぎていってしまった。てっきり言い返してくると思ってたのに、和磨はあっさり認めただけでなく、私なんて眼中にないといった態度で通り過ぎて行った。
「和磨」
遠ざかる和磨の背中に向かって呟くように名前を呼んでみるが、和磨は一度も振り返る事はなかった。そうなんだね。和磨が遠ざかる背中をずっと見つめながら、その背中が何を訴えているのかが理解出来た気がした。和磨は、あの子と本当に付き合うんだという事を……。
家に帰ってからも、先ほどの和磨の後ろ姿が目に焼き付いて離れない。あの子、嬉しそうだったな。きっと長年の和磨への想いが通じて、幸せな気持ちで和磨に会いに来たんだろう。その気持ちに応えるようにして、和磨はあの子に会いに行った。
「俺には自分の気持ち偽らないで言ったとしても、何ら問題もないと思うけど?……心が泣いている時は、人肌に温まるのがいちばん効果的なんだよ」