婚活
由佳の言った言葉が引っ掛かっていて、決め倦ねたまま土曜日の朝を迎えてしまった。早くに目が醒めてしまい8時には朝ご飯も食べ終わって、まだ行くと決めたわけではないが 何となく化粧を始めた。これだけ何日も、和磨の事で頭がいっぱいになっている。悩んで 決めかねて、でも結局私は……。和磨の事が好きだと気付いてしまってから、やっぱり和磨が忘れられない。行くだけ行って、和磨の話を聞いてこよう。早くこの状態をすっきりさせたかった。
「ちょっと、出掛けてくる」
「遅くなるの?」
「うーん……わからないから電話するね。行ってきます」
ウジウジしてるのは性に合わないもの。途中、和磨の家の方を見ると車があった。和磨。車で来るのかな?それとも歩いてくるのかな?そんな事を考えながら駅に着くと10時5分前だったが、和磨はまだ来ていなかった。何よ、女を待たせるなんて……。でもまだ5分もあるし待っていよう。
けれど5分経っても、10分経っても和磨は来ない。どうしちゃったんだろう?車で来るつもりで、ガソリンでも入れてるのかな?しかし、約束の10時から30分経っても和磨は現れない。業を煮やして、和磨の携帯に電話をしてみた。
「留守番電話サービスに、お繋ぎします」
留守電……。何だよ、和磨。まさか……まだ寝てるとか?40分が経ち、和磨の自宅に電話をしてみた。
「もしもし、白石です」
「あっ、おばさん?おはようございます。珠美です」
「あら、珠美ちゃん。珍しいわね。どうしたの?」
「和磨は居ます?」
「和磨?和磨なら、今朝早く出掛けたわよ?」
エッ……。
「和磨。出掛けたんですか?」
「そうなのよ。いつもだったら休みの日は遅くまで寝てるくせに、今日は何故か早起きしてもう出掛けちゃったのよ。何?珠美ちゃん。和磨に用事だったの?」
「あっ、いえ……大した用じゃないんで、また携帯にでも掛けてみます」
「そう?悪いわね。電話があった事、和磨に言っておくから」
「すいません。それじゃ、失礼します」
和磨。朝早く出掛けたって、何処行ったのよ?「土曜、忘れるなよ」と言ったのは、和磨だったのに……。
結局、11時まで待って、もう一度和磨の携帯に電話をしたが留守電だったので、何も伝言は入れずそのまま切った途端、床の言葉が思い出された。
「きっと遊ばれるだけ……」
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