婚活
裕樹の部屋のドアをノックすると、返事はなかったがすぐにドアが開き、和磨がドアを開けるや否や、無表情のまま私を見ている。
「何?」
「あ、あのさ……。これから加納さんに会いに行ってくる」
引け目を感じながら、恐る恐る和磨の顔を見た。
「だから何だよ?」
「だから、その……和磨に一応、断ってから行こうと思ったから……」
「……」
和磨は黙ったまま、何も言わない。
「和磨?」
「俺が駄目と言ったところで、珠美は相手にもう行くと言ったんだろ?」
「それは……」
「だったら、何も俺に断る必要もないだろう?」
そんな……。
「和磨」
「何だよ」
「和磨は、加納さんに会って欲しくないの?」
「別に……。お前の好きにすればいいよ」
和磨。
私の好きにすればいいって、どういう事?
「私、どうすればいいの?」
「もし、珠美が俺の立場だったらどうする?」
エッ……。
「俺を止めるか?約束しちゃったものを、取り消せとか言えるかよ?」
「……」
和磨はきっと、私に行って欲しくないんだ。
「和磨。私……」
「早く行けよ」
「和……」
和磨がドアを閉めてしまった。
どうしよう……。
今から加納さんに電話して、会えない旨を伝える?でも……もうきっと加納さんは、家を出てるよね。それなのに会えなくなりましたって、やっぱり言いづらい。自分の部屋に戻ってベッドの上に座り、暫く考え込んでいた。考えたところで答えは二つに一つしかない。携帯を握りしめたままぼんやりとしていると、裕樹の部屋から出てきた和磨が開けっ放しになっていた私の部屋の前を通る際、チラッとこちらを見て目が合った。まさかまだ私が居るとは思わなかったらしく、少し驚いた表情を浮かべている。
「和磨」
しかし和磨は呼びかけにも返事はせず、そのまま階段を降りていってしまった。
和磨……。
決心して携帯をバッグにしまい、ベッドから立ち上がった。やっぱり加納さんに会いに行こう。今、和磨に何か言ったところで、きっと聞く耳は持ってもらえないような気がする。和磨と、ちゃんと話さなきゃ。でも今は駄目みたいだ。
「ちょっと、出掛けてくるね」
「あら。和君居るのに、出掛けるの?」
お母さん……。
「行ってきます」
「何?」
「あ、あのさ……。これから加納さんに会いに行ってくる」
引け目を感じながら、恐る恐る和磨の顔を見た。
「だから何だよ?」
「だから、その……和磨に一応、断ってから行こうと思ったから……」
「……」
和磨は黙ったまま、何も言わない。
「和磨?」
「俺が駄目と言ったところで、珠美は相手にもう行くと言ったんだろ?」
「それは……」
「だったら、何も俺に断る必要もないだろう?」
そんな……。
「和磨」
「何だよ」
「和磨は、加納さんに会って欲しくないの?」
「別に……。お前の好きにすればいいよ」
和磨。
私の好きにすればいいって、どういう事?
「私、どうすればいいの?」
「もし、珠美が俺の立場だったらどうする?」
エッ……。
「俺を止めるか?約束しちゃったものを、取り消せとか言えるかよ?」
「……」
和磨はきっと、私に行って欲しくないんだ。
「和磨。私……」
「早く行けよ」
「和……」
和磨がドアを閉めてしまった。
どうしよう……。
今から加納さんに電話して、会えない旨を伝える?でも……もうきっと加納さんは、家を出てるよね。それなのに会えなくなりましたって、やっぱり言いづらい。自分の部屋に戻ってベッドの上に座り、暫く考え込んでいた。考えたところで答えは二つに一つしかない。携帯を握りしめたままぼんやりとしていると、裕樹の部屋から出てきた和磨が開けっ放しになっていた私の部屋の前を通る際、チラッとこちらを見て目が合った。まさかまだ私が居るとは思わなかったらしく、少し驚いた表情を浮かべている。
「和磨」
しかし和磨は呼びかけにも返事はせず、そのまま階段を降りていってしまった。
和磨……。
決心して携帯をバッグにしまい、ベッドから立ち上がった。やっぱり加納さんに会いに行こう。今、和磨に何か言ったところで、きっと聞く耳は持ってもらえないような気がする。和磨と、ちゃんと話さなきゃ。でも今は駄目みたいだ。
「ちょっと、出掛けてくるね」
「あら。和君居るのに、出掛けるの?」
お母さん……。
「行ってきます」