婚活
「そうそう。昔はやたらにクールな男がいいなんて言ってたけど、実際クール過ぎると間違っちゃうとナルシスト入っちゃってたりもするし、冷たい男のどこがいいんだよ?みたいに、今じゃ思えるよね」
「アッハッハ……。そうかもしれない。確かにクールな人がいいって言ってた子が高校時代とか多かったよね。でも今は優しい人の方がいいって思えるのは、その分、自分も歳取ってきて外見だけじゃいけないんだってわかるようになったからかもしれないね」
「珠美はきっと白石の事、昔は弟の友達なわけだから年下の子供みたいにしか思えなかったかもしれないけど、今は白石も大人の男になったし、それを意識するようになって初めて自分の気持ちに気付いたんじゃない?」
和磨が大人の男?
確かに、いつだったか暴漢に襲われた時、和磨は本当に頼もしくて男らしかったし、とても年下の弟の友達って感じは全然しなかった。
「珠美は、現実をもっとちゃんと見た方がいいよ」
「現実?」
「白石は、もう昔のような弟の友達じゃない一人の男だって事。ちゃんとそう捉えてやれば、面食らう事もないんじゃないの?」
一人の男として和磨を見てるつもりだった。でもどこかでまだ裕樹の友達という感覚で見てたのかな?
「少し離れてみて白石の良さもわかるかもしれないし、もし何だったら合コンでもして 他の男と比べてみるのもいいかもよ?」
「朋美。そんな事、出来ないよ」
他の男と比べるなんて、私には無理な気がする。
「結婚する時は、するのよ」
由佳が意味深な言い方をした。
「だいたいピークっていうのがあって、社会人になって25ぐらいの時にバタバタと結婚する人はするのよね。それが傍から見たら周りがどんどん結婚していくみたいに思えたりもするんだけど、実際、30ぐらいで結婚する人も同じぐらいいるし」
「行かずの、9ってね」
行かずの、9?
「苦と9を掛けて、昔から嫌うのよ。この年齢はね。だから29歳の時に結婚する人はあまりいない気がする。まぁ、駆け込みっていうのはあるかもしれないけど」
「もう30過ぎと考えるか、まだ30過ぎと捉えるかは個人の自由だけど、何も白石だけが男じゃないって事だけは覚えておいた方がいいよ。それと……」
由佳が言いかけて、私の顔をジッと見た。
「な、何?」
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