婚活
「その気があるように見せ掛けて、最初OKの連絡が入ったからもう一度会ったらさ……。母親まで連れてきてマザコン発揮されて、最悪だったわよ。母親連れて来ちゃうってどうよ?」
いきなり母親連れて来ちゃうって……。思わず自分の会った男達との場面を思い出し、そこに母親の存在を思い浮かべると何とも滑稽に感じられた。
「そりゃ、最悪だ」
由佳までもが、呆れた声で言っている。
「そういう由佳は、どうなの?」
「ん?三人に会ったよ」
「えぇっ?もう三人も会ったの?」
いつの間に、由佳ったら……。
「どうだった?」
「どうだったって、一つだけ学習できた事があるわよ」
学習?
「朋美も珠美もまだ良い方よ。私なんてテイクアウト・カフェでお茶買って、公園デートだよ」
「公園デート?」
テイクアウト・カフェって……。
「あとの二人は普通のカフェだったけど、一人は割り勘、一人は奢り。論外のテイクアウト・カフェの男は、当然って感じで割り勘だったよ」
うわっ。男もいろいろ居るけど、何か強烈というか……。
「結論から言うとさ、割り勘って男は、こっちに興味はないって事の意思表示だね」
「そうなの?由佳」
朋美が食らいつくように、身を乗り出した。
「勿論、カフェとかのグレードも、男によっては使い分けてるのかもしれない。ましてテイクアウト・カフェなんぞ、もっての外って事だと思うよ」
そんな……。
「でもそれって会って1分とか、何十秒とかの間にもう即座に決めてるって事?」
朋美が私の言いたい事を代弁してくれている。
「男は第一印象を結構気にする生き物だったりするから、その一瞬で会った女を値踏みするんじゃないの?」
由佳の説得力ある解説に、思わず頷いてしまう。
「馬鹿にしてるわよね」
「でも朋美。女だって、男の顔見ていろいろ考えるところがあるのと一緒だよ。こういう出逢いをする男にとっては、やっぱり第一印象や、自分の好みとかを優先するのは当たり前なのかも」
「うわぁ。だったらこれから連れて行かれる場所によって、すぐ判断出来ちゃうじゃない」
私が二回目に会った男にレストランに連れて行ってもらえたのは、奇跡に近いのかもしれない。
「だから男の世界ではそれが暗黙の了解で、それなりのスタンスになっているとしたら、女もがっつかないでそういう目で見られれば、面白いかもしれないわよ。縁と浮世は末を待てってね」
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