婚活

「そうよ。なかなか出逢いがないからね」
「……」
何を期待してる？和磨の後ろ姿に何を求めてる？
「いろいろ考えてみて……私、男を知らな過ぎだし、知らな過ぎたから和磨の事もわかってあげられなかったんだと思う。だからいろんな男の人と会ってみて、もう少し男の人の事を理解出来るように人生経験積まないとね。もう私も31だもん。洒落にならないでしょ？」
何でこんな事、言ってるんだろう。和磨に言ったところで何もならないのに……。いったい何を和磨に言って欲しいと望んでるのよ。和磨はきっと、こんな私を馬鹿にするだけ。
「明日……」
和磨……。明日、何？
「もし出掛けるんだったら、早く寝ろよな」
「えっ？」
「おやすみ」
和磨はこちらを一度も振り返る事なく、ドアの方を向いたまま言うとそのまま出て行ってしまった。何を期待していたんだろう。馬鹿だな……。自分から別れを選んだくせに、この期に及んで和磨に何を期待したりしてるのよ。もう終わったのに……。気を取り直して　先ほどの画面を表示してみた。この人は私をどう見てくれるのかな？私自身、この人の事を実際に会ってみてどう思うのだろう？いずれにしても、明日、私に会いたいと言ってくれているこの人に会いに行ってみよう。こういうのってタイミングとかもあるはず。これを逃したら……じゃないけれど、自分から努力もしないで楽して相手を見つけようとか、やっぱりそういう考えは改めないといけない気がする。じっと画面を睨みながら、今まで相談所の紹介で会った男の事を思い出していた。相手の男はいったい私のどこを見て判断するんだろう？やっぱり、少し猫被っていた方がいいのかな？最初が肝心っていうから、　第一印象はやっぱり幾つになっても可愛いイメージと言われて悪い気がする人はいない。何を着ていこうかなぁ？でもとにかく今は、そうと決めたら明日に備えてもう寝なきゃ。
トイレに行ってから寝ようと思い、階段を降りていくとリビングの電気がまだ煌々と付いていた。裕樹と和磨は、まだ飲んでいたんだ。階段の途中から足音を忍ばせ降りていき、トイレから出てまた静かに階段を上り始めようとした時、裕樹と和磨の話し声が聞こえた。
「和磨。最近、女は？」
裕樹の問い掛けた内容に、心臓がドキドキしている。
「女？女は当分いいや」
「ハハッ……。和磨らしくねぇな」