婚活
少し好奇心をかき立てられる集団お見合いを二週間後に控え、来週の日曜日に美容院の予約を入れた私って……。何気にその合コンに期待してる?由佳と朋美と事前に作戦会議と称し、いろんなケースを考え、取り敢えず三人で行動しながら未来王子を探そうという事になり、当日は普段着で起こし下さいと書いてあったが、少しだけドレスアップして最寄り駅で合流した私達は、合コン会場となっている都内のホテルに向かった。
会場に入ると圧倒されそうなほどの雰囲気で、平服でとの事だったのにみんなそれなりに ドレスアップをしていて、私のドレスアップなんぞ普段着ですか?と突っ込まれそうなほどだ。
「何か、みんな目つきが違うよね」
由佳が冷めた声で呟く。
「由佳もそう思った?殺気立ってる気がするよ。男探しにきましたって顔に書いてある女、 多すぎ。男もだけど……」
さすがの朋美も圧倒されたのか、愚痴っぽい言い方になっている。
「でもさ。せっかく来たんだから積極的に行動しようって気持ちもわかるし、だけどガツガツしてるって見られるとかえって引かれるから、私達は三人で行動してた方がいいかもね」
「何で?」
由佳の提案に、朋美がすかさず問い掛けた。
「だって、あんな風に一人で居ても目立たないでしょ?」
由佳の視線の先をそれとなく見ると、綺麗に着飾った女性がグラスを片手に一人で立っていた。
「だけどこうして三人で居れば、もし相手も誰かと来ていたりしたら声も掛けやすいってもんだし、それに……積極的に動き回らなくても、三人で居れば自然と目立つから」
そうか。流石、由佳だ。
「了解。そしたら、まずはドリンク取って来ようよ」
「うん。そうだね」
何だか柄にもなく緊張している。集団お見合いってこんな感じなんだと、改めてまさか自分が参加するとは思ってもみなかった会場の雰囲気を見渡した。
「珠美。こっち」
「あっ、うん」
あれっ?あの人……。
「珠美。どうかしたの?」
朋美が引き返してきて立ち止まったままの私の横に立ち、視線の先を追っている。
「良かったら、一緒にお話しませんか?」
エッ……。
不意に後ろから声を掛けられ朋美と一緒に振り返ると、二人連れの男性が立っていた。
「えっ?あっ。あの……」
朋美もいきなり背後から言われて返答に困っていると、そこに由佳が両手にグラスを持って戻ってきた。
「どうかしたの?」
< 234 / 255 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop