婚活
由佳達から離れた壁の前で立ち止まり、朋美と二人で顔を見合わせると、どちらからともなくクスクスと笑い出した。
「アッハッハ……。朋美。凄みあったよぉ」
「そうかなぁ?もうさぁ、あの二人見てたらイライラしてきて、思わずぶちまけてやったわ」
「上手く行くといいね」
「そうだねぇ」
朋美もあんな風には言ったものの、男を探す気分でもなく、ただ飲んで摘んでそのまま会場を後にした。駅に向かいながら由佳の事は気になっていたが、きっとそこは由佳の事、連絡してくるだろうからそれまではこちらからは何も言わないつもりでいた。
「珠美もいい加減、自分の気持ちに素直になった方がいいよ」
エッ……。
「珠美も由佳と一緒。まだ白石の事が忘れられないんでしょ?」
朋美の言葉に、ズキッと胸が痛んだ。
「私はね。珠美はあの時、別れて良かったと思うよ」
和磨と別れて良かった?
「離れてみて初めて気付くって事だって多いのよ。身近に居過ぎると気付けない事もかなりあるから。由佳だって本当は気付いてたはず。淳君でなきゃ、自分は駄目だって事」
朋美……。
「でも由佳は踏み切れなかったのよ。淳君があまりにも、家が、実家がって言ってたから。 だからそんな結婚する前から苦労するってわかっているんだったら、好きだけど諦めるしかないって自分に言い聞かせて淳君と別れたんだと思う。だけど……。珠美も気付いたと思うけど、由佳は今も淳君が好きだよ」
「……」
「私はいろんな男と付き合ってきて、初めてお見合いみたいな感じで小林さんと付き合ってみてわかったんだ。楽して男は探すもんじゃない。自分の思い通りに何でも行くような結婚なんて有り得ないんだってね」
「朋美?」
朋美がこの時、寂しげな表情の中にも凜とした一本筋の通った女性に見え、前の朋美と違って大人になったと感じられた。
「結婚は、お互いが好きな事が第一条件だと思ってたけど、それだけじゃ、駄目なんだよ」
「それだけじゃ、駄目?」
「勿論、政略結婚でもないんだからお互い好きでなきゃ、無理に決まってるんだけど、好きな事を前提としてその相手の事をどれだけ許せるかってことが大事なんだと思う」
どれだけ許せるか……。
「アッハッハ……。朋美。凄みあったよぉ」
「そうかなぁ?もうさぁ、あの二人見てたらイライラしてきて、思わずぶちまけてやったわ」
「上手く行くといいね」
「そうだねぇ」
朋美もあんな風には言ったものの、男を探す気分でもなく、ただ飲んで摘んでそのまま会場を後にした。駅に向かいながら由佳の事は気になっていたが、きっとそこは由佳の事、連絡してくるだろうからそれまではこちらからは何も言わないつもりでいた。
「珠美もいい加減、自分の気持ちに素直になった方がいいよ」
エッ……。
「珠美も由佳と一緒。まだ白石の事が忘れられないんでしょ?」
朋美の言葉に、ズキッと胸が痛んだ。
「私はね。珠美はあの時、別れて良かったと思うよ」
和磨と別れて良かった?
「離れてみて初めて気付くって事だって多いのよ。身近に居過ぎると気付けない事もかなりあるから。由佳だって本当は気付いてたはず。淳君でなきゃ、自分は駄目だって事」
朋美……。
「でも由佳は踏み切れなかったのよ。淳君があまりにも、家が、実家がって言ってたから。 だからそんな結婚する前から苦労するってわかっているんだったら、好きだけど諦めるしかないって自分に言い聞かせて淳君と別れたんだと思う。だけど……。珠美も気付いたと思うけど、由佳は今も淳君が好きだよ」
「……」
「私はいろんな男と付き合ってきて、初めてお見合いみたいな感じで小林さんと付き合ってみてわかったんだ。楽して男は探すもんじゃない。自分の思い通りに何でも行くような結婚なんて有り得ないんだってね」
「朋美?」
朋美がこの時、寂しげな表情の中にも凜とした一本筋の通った女性に見え、前の朋美と違って大人になったと感じられた。
「結婚は、お互いが好きな事が第一条件だと思ってたけど、それだけじゃ、駄目なんだよ」
「それだけじゃ、駄目?」
「勿論、政略結婚でもないんだからお互い好きでなきゃ、無理に決まってるんだけど、好きな事を前提としてその相手の事をどれだけ許せるかってことが大事なんだと思う」
どれだけ許せるか……。