婚活
和磨が言ってた事が、気になって仕方がない。そのうち嫌でもわかると言った、和磨の真意は何だったのだろう。もしかして、熊谷さんが私に言った事は冗談?からかわれたとか?あぁ、疑心暗鬼になってるよ。熊谷さんの素性は、全くわからない。恐らく和磨の方が、熊谷さんの性格もよく心得てるだろうし……。もし、からかわれてたとしたら真剣に考える必要なんてないし、それこそ加納さんの事をもっと重要視しなきゃいけない。
あぁ、もぉ!全然 男の気持ちがよくわからないよ。裕樹に相談するわけにはいかないし、
和磨なんてもってのほか。きっと、また馬鹿にされるのがオチだし……。仕方ないな。熊谷さんの事は、部下でもある朋美に話すか。少しは会社内だけだとしても、熊谷さんの素性や祖業もわかる。まぁその分、10倍ぐらいの質問攻めにあいそうだけど、そこは敢えて耐えなきゃいけないな。
翌日、覚悟を決めて朋美にメールを打ち、仕事が終わってから由佳も合流してお茶を飲みながら傾向と対策を練った。
「そうなんだ。朋美の第一回面通しは終わってその後も連絡があったって事は、じゅうぶん脈有りって事だよね?」
「う~ん。それはそうかもしれないんだけど、顔もまぁまぁだし年収も職業もOKなんだけどさぁ……。どうしてもあの優柔不断な性格が、これから先ずっと続くと思うと耐えられないような気がするのよ」
朋美は小林さんに先日会った時の第一印象を、由佳に話している。
「でもさ、もしかしたらスルメかもよ?」
はぁ?
「スルメ?」
朋美と同時に、由佳に聞き返していた。
「噛めば噛むほど、味が出るってね」
由佳……。
「すべてが完璧過ぎると、案外つまんないものよ。極端な事を言えば、朋美が理想としてる男に変えていく事だってある意味楽しいと思うけど?」
「まぁ、そうだけどさぁ……。今更この歳で、まめにいろいろ相手に対してあぁでもない、こうでもないって言うのも面倒なんだよね。それに向こうだってすでにいい歳なわけだから、性格なんて確立されちゃってるだろうし」
由佳の言っている事も、一理ある。かといって、朋美の言い分も凄く良くわかる。
「それにさぁ……。本当は私、一緒に付き添いで来てた加納さんの方が、どっちかって言ったらタイプなんだよなぁ」
「それじゃ、はっきりそう言えばいいじゃない」
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