婚活
正直、裕樹と付き合う女は大変だと思う。でも不思議と何故か、昔からモテる。裕樹と年子の私は、クラスの子や後輩によくラブレターの伝書鳩をさせられた。
「年上キラーと呼んで!」
あぁ、言いたい放題本人平気でほざいてるし……。そんな裕樹に悟られないよう、はやる気持ちを抑えてゆっくり部屋に向かう。
部屋に入った途端、小走りで駆け寄りパソコンの電源を入れ、立ち上がるのを待ってる間、おもむろに封筒から書類を取り出し、自分のIDとパスワードを確認する。
アドレスを入力して画面を開き、IDとパスワードを入力すると……「ようこそ!」
の文字が。
おぉおおお。何か感動。条件検索で、相手の条件を入力する。
「357人の該当者が、見つかりました」
うわぁ、357人だってさ。こりゃ、今夜は徹夜になりそうだな。明日が日曜日で良かったよ。
初めて開いた画面と好奇心も手伝って、夢中 画面を食い入るように見る。
ダメッ……。収入は高いけど 顔がへちゃむくれだ。ちょっと この人とは度アップで 接近出来そうにない。この人はまぁまぁだなと思った人に、一応チェック印を付ける。
トントンッとドアをノックする音が聞こえた途端、ドアが開いてしまった。
うわっ、やばい。
「珍しいな。珠美がパソコンに向かってるなんて、何見てんだ?」
ゲゲッ……和磨。
「な、何で勝手にいきなり入ってくるのよ。和磨」
慌てて画面をクローズする。
「ノックしたぜ? 今、あなたの理想の何とかって書いてあったよな?」
ギクッ。
最悪だ。和磨に見られた。
「その分厚い封筒、何?」
「な、何でもないわよ」
目ざとい和磨に問われ、慌てて持って背中に隠す。
「なぁ~んか、益々怪しいよな」
そう言いながら和磨が近づいてきて、私の背中の方を覗き込もうとした。
「ちょ、ちょっと、何の用なのよ。冷やかしで来たんだったら忙しいんだから、とっとと出てってくれる?」
左手だけで持っていた封筒を背中に隠しながら、右手で和磨の胸を押して遠ざける。
「はいはい。 ムキになって目くじら立てるなよ。 そんな顔になっちゃうぜ?」
「うるさいわね。 早く裕樹の部屋に行きなさいよ」
「でも、ホントは構って欲しいんだろ? またあとで覗いてやるから」
和磨は振り向きざま、そんな事を抜かしてる。
「何だと、このガキ」