婚活
少し理想像のリクエストレベルを、下げてみようかな。下げるというか、条件を減らしてみるとか……。でも取り敢えずは土曜日加納さんに会ってみて、感触を掴んでみてからにしよう。付き添いの枠を越えられるかどうか、それにすべてがかかっているように思え、熊谷さんの事もそれから考えようと思う。決戦は土曜日。さっきまで怖さでいっぱいだったのに、自分でも呆れるほど今は切り替えて頭の中は加納さん、熊谷さんの姿を寝ながら 思い浮かべている。でも二人の後に……。誰か居る。誰だよ。未来王子?よく見えないよ、顔が。誰?
「起っきろぉよ。朝だ。ホイサで、コケコッコー」
「うわぁぁああ」
突然、耳元で大きな声がして驚いて飛び起きた。
な、何?
「こりゃ、やっぱり強力だな」
はぁ?
寝ぼけ眼のまま声のする方を見ると、裕樹が何かを持って立っていた。
「何よ、裕樹。朝から、びっくりするじゃない」
「それ、やるよ」
眠たい目を擦りながら起きあがった私の手に。裕樹が30cmぐらいのおよそ可愛いとは言えないキャラクター擬きの人形を置いた。
「何、これ?」
「今、開発中の目覚まし時計。いいだろ?これなら、一発で起きられるぞ?」
はぁ……。
そうなんだ。裕樹の会社は精密機械を作っていて、いわゆる時計の中身やこういった目覚まし時計やタイマーなど時計の音の開発をしている。
「これ、裕樹が考えた台詞?」
「そう。なかなかだろ?」
「最悪。これじゃ、腹立って消してからまた寝そうだよ。爽快に起きられないジャン。暑苦しいし、うるさい……」
「姉貴みたいに寝起きの悪い人には、ピッタリだと思うけど」
はい?
「全然、ピッタリじゃないわよ。朝っぱらからこんな大声で起こされたら、心臓に悪いって」
「そうかなぁ」
「そうよ。もう少し音量下げるとか、あとは台詞をもっと素敵な声にして。こんなカースケみたいな濁声じゃ、起きる気も失せるって」
私の手の上にのっていた目覚まし時計を、もう一度裕樹は掴むとブツブツ言いながら部屋を出ていった。
もぉ。私で試すのは、やめて欲しいよ。せっかくいい夢見てた気がするのに、お陰でもうすっかり内容忘れちゃったじゃない。ベッドから起きあがった拍子にいつもの癖で膝を突いた途端、体重がかかって痛みが走り、昨日の出来事を思い出した。そうだった……。今日の帰り、何だか嫌だな。なるべく早く帰って来よう。
「起っきろぉよ。朝だ。ホイサで、コケコッコー」
「うわぁぁああ」
突然、耳元で大きな声がして驚いて飛び起きた。
な、何?
「こりゃ、やっぱり強力だな」
はぁ?
寝ぼけ眼のまま声のする方を見ると、裕樹が何かを持って立っていた。
「何よ、裕樹。朝から、びっくりするじゃない」
「それ、やるよ」
眠たい目を擦りながら起きあがった私の手に。裕樹が30cmぐらいのおよそ可愛いとは言えないキャラクター擬きの人形を置いた。
「何、これ?」
「今、開発中の目覚まし時計。いいだろ?これなら、一発で起きられるぞ?」
はぁ……。
そうなんだ。裕樹の会社は精密機械を作っていて、いわゆる時計の中身やこういった目覚まし時計やタイマーなど時計の音の開発をしている。
「これ、裕樹が考えた台詞?」
「そう。なかなかだろ?」
「最悪。これじゃ、腹立って消してからまた寝そうだよ。爽快に起きられないジャン。暑苦しいし、うるさい……」
「姉貴みたいに寝起きの悪い人には、ピッタリだと思うけど」
はい?
「全然、ピッタリじゃないわよ。朝っぱらからこんな大声で起こされたら、心臓に悪いって」
「そうかなぁ」
「そうよ。もう少し音量下げるとか、あとは台詞をもっと素敵な声にして。こんなカースケみたいな濁声じゃ、起きる気も失せるって」
私の手の上にのっていた目覚まし時計を、もう一度裕樹は掴むとブツブツ言いながら部屋を出ていった。
もぉ。私で試すのは、やめて欲しいよ。せっかくいい夢見てた気がするのに、お陰でもうすっかり内容忘れちゃったじゃない。ベッドから起きあがった拍子にいつもの癖で膝を突いた途端、体重がかかって痛みが走り、昨日の出来事を思い出した。そうだった……。今日の帰り、何だか嫌だな。なるべく早く帰って来よう。