婚活
ちょうど傍にあったハンドクリームのチューブを掴み、和磨に向かって投げつけた。

あっ……。

「珠美、コントロールいいよな。ホラッ」

いとも簡単に片手でキャッチしたチューブを和磨はこちらに向かって投げ返すと、部屋を出ていった。受け取ったハンドクリームのチューブを、元の位置に戻す。

まったく和磨ときたら、油断も隙もありゃしない。裕樹の昔からの友達で、いわゆる幼なじみ。物心ついた頃から暇さえあればお互いの家を行き来して、社会人になった今も、こうして休みの日にはどちらかの家に、用がなければ夜になると入り浸っている。

別に何をするでもなく、ただ部屋で喋ってるだけみたいだが、よく飽きないよなぁ。でも2人共ちゃんと彼女もいて、土日のどっちかは彼女と会ってるらしいが、夜になるとこうやって登場して……週末、裕樹も和磨の家に行ったりしてるから、裕樹は日曜の朝帰って来たりもする。

でも私は知ってるんだ。それもたまにカモフラージュで、ホントは女と泊まりに行ったりしてる事も……。

おっと。いけない、いけない。検索再開、再開。え~っと、どこまでいったんだっけ。

しかし、地元の幼なじみとかで格好いい子はいないし、確かに小さい頃からよく遊んでたから、和磨が幼なじみと言えば幼なじみだけど、あの和磨じゃねぇ……。
よくドラマや漫画とかにも出てくるような、イケメンの幼なじみ。
顔を合わせる度にケンカばかりしていて、だけどいろんな男を物色してみても、最後はやっぱりその幼なじみと……。

なぁ~んて絶対和磨とじゃ、間違ってもそうはならないな。だって和磨とじゃ、まるで姉弟みたいだから。

弟としか見られないし、何だか犯罪色濃い感覚だ。多分、向こうもそう思ってるだろうし、それに長男だし。

あぁあ……私の未来の旦那様は、いずこに?

オフィスラブも、描いてたものとは実際、あまりにもかけ離れてたしなぁ。

ん?この男、結構好みかも……。

あぁ~ん、惜しいなぁ。長男か。次男がいいんだよね。長男の嫁は大変だよと何度も母に言われ、実際 母も三男の父と結婚した。

年齢は30歳以上、35歳未満。

次男以降で、身長は175cm以上。

田舎のない人で、都会暮らし。

盆暮れ正月の帰省も大変だし、都会育ちの私には絶対田舎は無理だから。やっぱり実家には、日帰りで行ける距離がいい。

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