婚活
でもこんな条件、すべて満たす人なんていないだろうし顰蹙を買いそうだから、そこは百歩譲って……年齢と身長、年収700万位以上とだけ記載した。

そして私の中では、何より一部上場企業勤務がいちばん。NG職種は、公務員の命に関わる仕事に就いている人。確かに安定してる収入で公務員はいいって言うけど、駄目なんだよなぁ……。命に関わる仕事をしてる人だと、早くから未亡人になるのが嫌だから。でもパイロットは、OK!年収いいし、格好いいからね。
そんな利己中心的考えの言いたい放題で条件記入したのに、結構、該当者がいてびっくりした。
出会いを求めている、世の男性諸君!

お互い、星の数ほどいる男女。どうか、私を検索ヒットさせてくれますように……。出来ればイケメン希望で、次男でお願いします。

あまりにも検索に夢中になりすぎて、朝方までパソコン画面とお見合いしてた私の瞳は疲れ目で、起きて鏡を見ると酷く充血していてウサギちゃん状態。

「ひゃぁ。お母さん、疲れ目に効く目薬なかったっけ?」

思いっきり伸びをしながらリビングに行くと、裕樹と和磨が物言いたげな表情を浮かべ、雁首揃えてソファーに座りながら私を見ていた。

「アラフォー、まっしぐらだな」 

「ジャスサーです」

「でもそういうアラサーとか聞こえはいいけど、三十路だろ?」

「そうそう。で、ジャスサーは、もろ30ってことだろ?」

「裕樹!和磨もうるさい」

朝っぱらから、気分悪いな。

「珠美。目薬なんて開けたら消費期限短いんだから、家にはないわよ。あとで買ってきたら?」

「そうか。わかった、後で買ってくる」

お勉強しなかったから、視力はいい私。メガネもコンタクトも無縁だし、故に目薬にも縁遠い。

「あなたの理想の何とかっていうのの、見過ぎじゃねぇの?」

うっ。
和磨、それを言うんじゃない。

「何だ、それ?」

「パソコン画面の・・・・・」

「和磨、お黙り!言ったら朋子に聞いた、会社のアンタの女遍歴もばらすよ」

「あっ、汚ねぇ。そんなもん、持ち出すのかよ」

そうなんだ……。和磨と私は何の因果か、同じ会社に勤めている。裕樹も和磨も、幼稚園、小学校から高校までずっと同じ学校で1年後輩。大学こそ違ったが、裕樹と和磨は同じ大学。

そうよ。あの2人の方が、頭が良かったから。

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