婚活
。身構える事でもないけれど、理想と現実の狭間のギャップもそろそろちゃんと受け入れないと……。
靴を脱いで、リビングに向かう。
「ただいま」
「おかえり。ご飯はいらないって言ってたけど、今桃むいたから食べる?」
「うん。食べる、食べる。手を洗ってくる」
バッグを床に放り出し、手を洗いに向かう。頭の中では考えてわかっていても、何だかんだ言ってもやっぱり実家がいい。この魔力に取り憑かれたら、一生抜け出せないんじゃないかとさえ真剣に思えるもの。
「ごちそうさま」
「そうそう、珠美。明日と明後日、お父さんと温泉行ってくるからよろしくね」
「わかった。何処の温泉行くの?何もないとは思うけど、一応連絡先書いていってね」
桃を頬張りながら、これ独り暮らしじゃ自分で剥くんだよなと思ってしまう。
「飛騨高山に行くの。さっき裕樹にも言ったんだけど、電話の横にメモ置いといたから」
いかん、いかん。楽してばかりいてたら、ホントに婚期逃すよ。
「日曜日には、帰って来るんでしょ?」
「そう。遅くなるかもしれないけど、夕飯は適当に済ませてくるから」
「わかった」
明日と明後日は、プチ自炊か。裕樹はどうせあてにならないし、それこそ適当に私も済ませようっと。
お風呂に入って、パソコンを立ち上げた。今夜は少しいつもの惰性とは違って、真面目に 画面に向かっている。
理想の男性か……。
そうだよ。もう一度、この前の理想のタイプのリクエストを見直してみよう。自分のリクエストした部分を見直していると消去法ではとても無理で、思い切って全部一旦消してもう一度入力し直す事にして、10項目のリクエストを記入し最後の質問に答える。
―あなたにとって、この中でいちばん重要な項目はどれですか?―
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