婚活
一人で食べる朝食も珍しい。新聞を広げながらゆっくりとご飯を食べ食器の後片付けを 済ませると、適当に部屋の掃除をして駅前のスーパーに繰り出した。冷蔵庫にあるものを 確認してきたから、自分の食べたいものを買って明日の朝食の好きなパンを買う。こうすれば、もう出なくて済むもんね。あとはゆっくり家で画面と向き合える。帰ったら母親がしていってくれた洗濯物を取り込んで、あとは自由時間。好きな時にご飯を食べて、眠たくなったら寝よう。足取り軽くスーパーの袋をぶらさげて家に帰り洗濯物を取り込んでから、今は食べたかった美味しいパンを頬張りながらパソコンの画面に向かっている。何だかプチ独り暮らしも、たまにはいいな。もちろんずっとこれが続くのは嫌だけど、1日だけだったら何ヶ月に1回とかこんな時があってもいいな。パソコンの画面に向かってるとあっという間に時間が経ってしまい、腹時計が鳴って時計を見て驚いてしまった。もう21時じゃない。いい加減、ご飯食べなきゃ……。
一旦、パソコンを消して下に降りていく。
うわっ。ドキッとするな。階段を降りると、真っ暗だった。それもそのはず。誰もいないんだから当たり前で、慌ててリビングの電気を付けて階段の電気はそのまま付けっぱなしでもいいやと思い、キッチンの冷蔵庫からあるもので焼き豚を切ってサラダの上にのせ、残っていたご飯と一緒に口に運ぶ。
何だか、味気ないな。一人で食べるご飯は由佳の言うとおり、味気ないし、侘びしい気分で、あまり見ないテレビを付け部屋の静けさを打ち消そうとした。
私には、やっぱり独り暮らしは無理だな。会話もないから食べるだけ食べてあっという間に食事も終わってしまい、お風呂に入ろうと思ったが面倒なのでシャワー出済ませ、スッキリしたあと冷蔵庫を開けて父親の為にいつも冷やしてあるビールを飲もうかとも思って缶を掴んだが、そのまま牛乳に変更。グラスに注いで牛乳を飲みながら、ソファーに座ってひと息ついていた。
みんな居ないと、ホントに静かだな。
エッ……。
な、何?
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