婚活
なるほどね。和磨って、意外と神経質なのかな。でも、なかなか鋭いかもしれない。
「あとは?どんなところに、惹かれるの?」
「珠美。お前、マジだろ?」
「勿論よ。真剣なんだから、和磨も真剣に答えてよね」
おせんべいをかじりながら、ソファーに寝転がってる和磨を直視する。すると和磨は片手間に広げていた新聞を畳み、起きあがるとキッチンに向かうと冷蔵庫を開ける音がした。
「ビール、飲んでもいい?」
「いいよ」
「珠美も飲むか?」
「うん」
キッチンから缶ビールを二本を持って戻ってきた和磨が、一本を私に差し出した。
「珠美。つまみは?」
「漬け物とかでもいい?」
「上等」
キッチンに和磨と入れ替わりに行き、キッチンの隅に置いてある漬け物の入っている瓶を引っ張り出し、母が毎日浸けているぬか床からキュウリと茄子を出した。
「珠美。平気なんだ」
和磨の声がすぐ後でしてしゃがみながら見上げると、和磨が後から覗いていた。
「何がぁ?」
「臭いから嫌とか、言うのかと思った」
「何で?臭い?私、ぬかみその匂いって嫌いじゃないよ」
「ふぅ~ん……」
シンクでキュウリと茄子を水で洗い、包丁でキュウリと茄子を切ってる傍から横から手が伸びてきて和磨が摘み食いをしている。何だか、夫婦みたいジャン。
ハッ!
何、考えてるんだ私。ボ~ッとしていると、また後から長い手が伸びてきて漬け物を摘み食いした。
「和磨。ここで食べちゃったら、なくなっちゃうでしょ?向こう行ってて」
「うわっ。危ないなぁ、珠美。包丁振り回すなよ」
エッ……。
「あぁ、ごめん」
鉢に盛ってリビングに向かうと、何ともお行儀よく和磨が座って珍しくまだビールも飲まずに待っていた。
「珍しい。先に飲んでて良かったのに」
「また包丁振り回されたら、怖いから」
相変わらず、可愛くないな……。和磨と何故か、夜中に乾杯をしながら漬け物をつまみにテーブルを挟んで向かい合っている。何か事の流れでこうなっちゃったけど、まぁ、いいか。
「それで、和磨ぁ。どうしたら、男に好かれると思うぅ?」
「珠美、飲み過ぎだ。もう、いい加減にしろよ」
家に居る事をいいことに、テーブルの上には空いたビールの缶がタワーを作っていた。和磨は殆ど酔っていない感じで、聞き役にまわっている。
「だいたい、和磨は生意気なのよ。年下のくせにさ」
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