婚活
男の元気印?
「10代、20代は、まだまだビンビンなわけ」
あっ……。
「和磨!」
「おぉ、怖い。じゃぁな」
言い逃げるように、和磨は玄関から出て行った。
親指が10代。人差し指が20代……。という事は、和磨は今……。
ゲッ!
な、何考えてんだよ、私。卑猥だ。和磨の奴、とんでもない事言ってまったく……。こんな事よりご飯、ご飯。取り敢えず二日酔いになりそうだから、ご飯無理矢理にでも食べて治さなきゃ。
好きなパンを頬張りながら、日曜の面白くもないテレビを観ながらぼんやり考えていた。熊谷さんの言葉は嬉しかったけど、何となくビビッと来るものがない気がする。そう言えば、加納さんはどうしているのかな。良い人って感じで、あのほんわかした雰囲気が私には結構しっくり来るものがあったけれど、何となく押し不足な人で……。やっぱり朋美のように私も一度、画面の中の人に会ってみようかな。そうすれば煮え切らない婚活にも、喝が入っていいかもしれない。ステップ1だよね。思い立ったが、吉日。お昼過ぎからは 画面に向かい、未来王子を探すべく検索を掛ける。この人……どうだろう。四時間ぐらいかけてピックアップした中から、一番自分に合っていそうな人をようやく見つけ出せた気がした。
都内在住、31歳。
顔は、まぁまぁかな。写真と実物は、少し違うしね。
次男。職業は、大手商社開発担当。
身長177cm
まぁ、2cmぐらいサバ読んでたとしても175cmか……。でも商社マンだから、転勤あるのかなぁ。国内とかだったらまだいいけど、海外はちょっと大変そうだけど……。会ってみようかな。でもこの前の朋美みたいな会い方は、何となく私には向かないから1対1の方がいいかもしれない。だとしたら、あの相談所で会えば安心だよな。朋美と由佳には、前もって話しておこう。もう一度、画面を見て熟読する。希望する相手との会う場所を、相談所と記入して……。コンタクトを取るをクリックしてしまえば、事がどんどん運んでいく。本当に、覚悟は出来ている?で、も、何事も当たって砕けろだよね。道を切り開かなきゃ、いつまで経っても今のままのような気がするもの。マウスをYesのところに合わせ、右手の人差し指でクリックボタンを押した。
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