婚活
「どうぞお掛け下さい。錦織様も沢村様も、そう改まって堅くならないでリラックスされてお話下さい」
アラ・フォーの女性は、慣れてるからそう言えるのよ。こっちは、初めてなんだから……。
「では二時間、このお部屋でお話頂いて構いませんのでどうぞごゆっくりお話下さい。また何かございましたら、そちらのインターフォンでお知らせ下さい」
「はい」
この人、なかなか低くて張りのある声だな。
「それから……。このお部屋はあくまでお話、ご歓談のお部屋としてご用意させて頂いております。つきましては、他のご用途にはお使いになりませんよう、事故防止のためモニターカメラを設置させて頂いております。もちろんプライバシーを考慮いたしまして、音声は消しておりますのでご安心下さい」
そうなんだ……。そう言われてみれば、そうだよな。部屋に入ってしまえば密室だから男と女だし、万が一って事もある。
「それでは、時間になりましたらお声をお掛け致しますので、それまでどうぞ楽しいご歓談を」
アラ・フォーの女性は、営業スマイルを浮かべながら部屋を出ていった。
「何だか、緊張しますね」
「そ、そうですね」
錦織清人さん。29歳。
貴方は私の未来王子になる男なのか、ならない男なのか。それを、これから探らなきゃ……。
「沢村さんは、どうしてこちらに入会されたんですか?」
「えっ?」
「あっ。ごめんなさい。突然、不躾な事を聞いてしまって」
「いえ……」
いきなり、何なんだ。
「実は僕、初めてこういう所に入会したものですから全然右も左もわからなくて……。ただきっかけというものが僕の場合、殆ど勢いでというか……。その程度の軽い気持ちだったので、もし本当にちゃんとしたと言っては何ですが、真剣に申し込みされていたのでしたら申し訳ないなと思いまして、それでお聞きしたんですが……」
この人、真面目なのかな。
「あの……。実は、私も友達同士で勢いのようなもので入会したんですよ」
「そうだったんですか ホッとしました」
錦織さんが本当にホッとしたように、安堵の表情を浮かべている。
「でも……。失礼ですが、錦織さんぐらいの方だったら会社とかでもモテそうな気がするんですけど」
すると、一瞬、錦織さんが眉間に皺を寄せた。
うっ。
これって、タブーの質問だったのかも。
アラ・フォーの女性は、慣れてるからそう言えるのよ。こっちは、初めてなんだから……。
「では二時間、このお部屋でお話頂いて構いませんのでどうぞごゆっくりお話下さい。また何かございましたら、そちらのインターフォンでお知らせ下さい」
「はい」
この人、なかなか低くて張りのある声だな。
「それから……。このお部屋はあくまでお話、ご歓談のお部屋としてご用意させて頂いております。つきましては、他のご用途にはお使いになりませんよう、事故防止のためモニターカメラを設置させて頂いております。もちろんプライバシーを考慮いたしまして、音声は消しておりますのでご安心下さい」
そうなんだ……。そう言われてみれば、そうだよな。部屋に入ってしまえば密室だから男と女だし、万が一って事もある。
「それでは、時間になりましたらお声をお掛け致しますので、それまでどうぞ楽しいご歓談を」
アラ・フォーの女性は、営業スマイルを浮かべながら部屋を出ていった。
「何だか、緊張しますね」
「そ、そうですね」
錦織清人さん。29歳。
貴方は私の未来王子になる男なのか、ならない男なのか。それを、これから探らなきゃ……。
「沢村さんは、どうしてこちらに入会されたんですか?」
「えっ?」
「あっ。ごめんなさい。突然、不躾な事を聞いてしまって」
「いえ……」
いきなり、何なんだ。
「実は僕、初めてこういう所に入会したものですから全然右も左もわからなくて……。ただきっかけというものが僕の場合、殆ど勢いでというか……。その程度の軽い気持ちだったので、もし本当にちゃんとしたと言っては何ですが、真剣に申し込みされていたのでしたら申し訳ないなと思いまして、それでお聞きしたんですが……」
この人、真面目なのかな。
「あの……。実は、私も友達同士で勢いのようなもので入会したんですよ」
「そうだったんですか ホッとしました」
錦織さんが本当にホッとしたように、安堵の表情を浮かべている。
「でも……。失礼ですが、錦織さんぐらいの方だったら会社とかでもモテそうな気がするんですけど」
すると、一瞬、錦織さんが眉間に皺を寄せた。
うっ。
これって、タブーの質問だったのかも。