婚活
電話を切った後、掛けてよかったと思ったと同時に、加納さんの胸の内を聞けて嬉しかった。今度は、熊谷さんだ……。
いつでも待っていると、言ってくれた熊谷さん。でも……。不倫相手と精算してまで、私を想ってくれている?本当に、想ってくれてるんだろうか。何かこう、言いようのない疑いを持ってしまうのは、どうしてなんだろう。私って、疑い深いのかな。一度は断った熊谷さんとの事、それでも待っていると言われてしまった以上、ちゃんときっぱり断った方がいいよね。待たれても困るとまで、言わないとしても……。意を決して、熊谷さんに電話を掛ける。
「もしもし」
熊谷さんも、電話に出た。
「あの、沢村ですけど。こんばんは」
「どうしたの? 何かあった?」
熊谷さんは外に居るみたいで、受話器を通して周りの声が聞こえる。
「今、お話しても大丈夫ですか?」
「あぁ、平気だよ。何?」
熊谷さんが、明るく聞き返してくる。でも、今から告げる内容は……。
「実は、この前のお話の件なんですが……」
「この前の話し?」
少しだけ、熊谷さんの声のトーンが低くなった。
「はい。熊谷さんが、待ってて下さるとおっしゃって下さった事なんですが」
「あぁ。もしかして、その気になってくれた?」
熊谷さん。
「いえ、ごめんなさい。あの……私、熊谷さんが待ってて下さると言って頂けた事は、とっても嬉しかったんですけど……」
「待たれると、迷惑?」
エッ……。
「俺が待ってると言った事は、君にとって負担になってる?」
「熊谷さん……」
「今から、会えないかな?」
今からって……。慌てて机の上の時計を見ると、20時半だった。
「会って話そう」
会って話そうって、急に言われても……。
「今、家だよね?車で迎えに行くから、多分30分ぐらいで着くから。それじゃ」
「あの、熊谷さん。ちょ、ちょっと待って……」
電話は、途中で切れてしまった。今から会うって言われても、今更会ってどうするんだろう。熊谷さんの強引さに辟易しながらも、着替えて化粧直しをしている自分もどうかしている。いったい私は……。そうこうしているうちに、携帯が鳴った。
「もしもし。今、表通りに居るんだけど、このまま家の前まで行ってもいい?」
いくらなんでも、家の前はまずい。まして親も居るし、裕樹も和磨も居るからそれこそ何を言われるかわからない。
いつでも待っていると、言ってくれた熊谷さん。でも……。不倫相手と精算してまで、私を想ってくれている?本当に、想ってくれてるんだろうか。何かこう、言いようのない疑いを持ってしまうのは、どうしてなんだろう。私って、疑い深いのかな。一度は断った熊谷さんとの事、それでも待っていると言われてしまった以上、ちゃんときっぱり断った方がいいよね。待たれても困るとまで、言わないとしても……。意を決して、熊谷さんに電話を掛ける。
「もしもし」
熊谷さんも、電話に出た。
「あの、沢村ですけど。こんばんは」
「どうしたの? 何かあった?」
熊谷さんは外に居るみたいで、受話器を通して周りの声が聞こえる。
「今、お話しても大丈夫ですか?」
「あぁ、平気だよ。何?」
熊谷さんが、明るく聞き返してくる。でも、今から告げる内容は……。
「実は、この前のお話の件なんですが……」
「この前の話し?」
少しだけ、熊谷さんの声のトーンが低くなった。
「はい。熊谷さんが、待ってて下さるとおっしゃって下さった事なんですが」
「あぁ。もしかして、その気になってくれた?」
熊谷さん。
「いえ、ごめんなさい。あの……私、熊谷さんが待ってて下さると言って頂けた事は、とっても嬉しかったんですけど……」
「待たれると、迷惑?」
エッ……。
「俺が待ってると言った事は、君にとって負担になってる?」
「熊谷さん……」
「今から、会えないかな?」
今からって……。慌てて机の上の時計を見ると、20時半だった。
「会って話そう」
会って話そうって、急に言われても……。
「今、家だよね?車で迎えに行くから、多分30分ぐらいで着くから。それじゃ」
「あの、熊谷さん。ちょ、ちょっと待って……」
電話は、途中で切れてしまった。今から会うって言われても、今更会ってどうするんだろう。熊谷さんの強引さに辟易しながらも、着替えて化粧直しをしている自分もどうかしている。いったい私は……。そうこうしているうちに、携帯が鳴った。
「もしもし。今、表通りに居るんだけど、このまま家の前まで行ってもいい?」
いくらなんでも、家の前はまずい。まして親も居るし、裕樹も和磨も居るからそれこそ何を言われるかわからない。