婚活
朋美からだ。何だろう。

―昨日の夜はオールで探して、1人いい男発見。早速、来週の土曜日に面通しする事になった。そっちはどう?目星付けた?―

うわっ。

朋美ったら、早業だなぁ……。

―まだ全然目星どころか、全部見切れてないから。今日これからまた見るところ―

そう朋美に返信して、パソコン画面と向き合う。

凄いな。朋美みたいに、そんなテキパキ出来ないよ。それだけ私、真剣じゃないのかな。でもじっくり選びたいというか、言っちゃ悪いが焦って変なの掴んでもそれも困るし……。

離婚は最近メジャーとか言われてるけど、いくらまたやり直せばいいとは言ってもやっぱり乙女心としては、最良の伴侶と添い遂げたい願望が大前提。

こんな私の考えは、古いのかな。さもなきゃ、古風な女性が好みとかの人を選ぶか。

う~ん……。難しいな。でも今のまま実家の楽さに甘えてちゃいけない事はわかってるんだけど、やっぱり楽だからか結婚願望はあってもそんな切羽詰まってない自分もどこかに居たりする。

だけど、いずれ裕樹が沢村家の跡を取って結婚したとして、まぁ同居はしないだろうけど行く末、両親に万が一の事があったら、私は遅かれ早かれこの家を出なければならない。 

変な話、親の財産を貰う権利は私にもあるが、それでもここにずっとは居られない。理想とすれば、結婚して家を出て……がいいけれど、先の事はまだわからないし。第一結婚出来るかどうかもねぇ……。

そう言えば、由佳はどうしてるのかな。でも由佳には、一応彼氏と呼べる人がいる。彼氏は1つ年下で、今はデパートの食品売り場で社会勉強と称して働いている。

だけど、何年かしたら今の仕事を辞めて実家の農業を継ぐ事になっているらしく、由佳としては田舎に行くのは気が進まず、まして農業とか自分には無理だといって、これ以上は発展しない。終わりの見えている恋だと、由佳は自負している。

そんな由佳の冷静沈着な千里眼にかなう男は、画面の向こうに存在するのだろうか。そしてこんな上げ膳据え膳の楽な生活から、スパッと抜け出せるようなほどの男は、私の目の前に果たして現れるのか。

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