婚活
少しだけ声を張り上げ、和磨に手を振り急いで曲がり角を曲がった。さて……。熊谷さんは、まだいますかねぇ。ファミレスの前を素通りしながら、ガラス越しに横目で店内を見渡すように視線を素早く動かす。あっ、居た!まずい。目が合ってしまった。
すると、すかさず熊谷さんがファミレスの入り口まで出てきて、通り過ぎようとした私を呼び止めた。
「沢村さん」
間抜けな私。みすみす捕獲された感じ……。でもこれだけお店に人がいるし、見つかっちゃった以上、観念してファミレスの席に着く。喫煙席に座っていた熊谷さんの前に座り、取り敢えずコーヒーを頼んだ。
「来てくれて嬉しいよ」
「いえ、誤解しないで下さい。私がここに来たのは……」
「お待たせしました」
ホットコーヒーが運ばれてきて、カップから僅かに立ち上る湯気を見ながら、熊谷さんの 視線を感じている。
「今日は何してたの?」
エッ……。
「パソコンで婚活してました」
あっ……。不意にそんな事を聞かれ、正直に応えてしまう自分に戸惑いを隠せない。
「そうなんだ。お天気がいいし、てっきり出掛けてるかと思ってたからラッキーだったな それは」
「……」
「昨日は、殆ど家で僕も過ごしてたんだけどさ。面白いDVDがあって、ずっと観てたら あっという間に一日なんて終わっちゃうんだよね」
「あの……」
「沢村さんは、映画とか観るの?」
どうしてもタイミングを逃してしまい、きっぱり面と向かって「私は熊谷さんとは付き合えない」と言うつもりなんだが、なかなか本題を切り出せないまま、もう三杯目となるお代わり自由のコーヒーを飲んでいる。
―いらっしゃいませ。お二人様ですか?―
周りのお客さんもどんどん入れ替わり、立ち替わり、出入りしていく中、熊谷さんの灰皿も、私が覚えているだけでも二回は店員が取り換えに来ていた。ちょうど灰皿の交換にまた店員が来たので会話が途切れ、今なら話せそうなタイミングが窺えた。また新しいお客さんが入ってきたのか、前から歩いて来る人の気配を感じながらも、視線は熊谷さんから外さず、今言うしかないと大きく深呼吸して口を開いた。
「あの、私……」
「結婚を前提に、お付き合いしてもらえないか?」
「えっ……」
「珠美?」
名前を呼ばれて視線を熊谷さんから斜め後に移すと、そこには和磨と綺麗な女の子が立っていた。
「和磨」
すると、すかさず熊谷さんがファミレスの入り口まで出てきて、通り過ぎようとした私を呼び止めた。
「沢村さん」
間抜けな私。みすみす捕獲された感じ……。でもこれだけお店に人がいるし、見つかっちゃった以上、観念してファミレスの席に着く。喫煙席に座っていた熊谷さんの前に座り、取り敢えずコーヒーを頼んだ。
「来てくれて嬉しいよ」
「いえ、誤解しないで下さい。私がここに来たのは……」
「お待たせしました」
ホットコーヒーが運ばれてきて、カップから僅かに立ち上る湯気を見ながら、熊谷さんの 視線を感じている。
「今日は何してたの?」
エッ……。
「パソコンで婚活してました」
あっ……。不意にそんな事を聞かれ、正直に応えてしまう自分に戸惑いを隠せない。
「そうなんだ。お天気がいいし、てっきり出掛けてるかと思ってたからラッキーだったな それは」
「……」
「昨日は、殆ど家で僕も過ごしてたんだけどさ。面白いDVDがあって、ずっと観てたら あっという間に一日なんて終わっちゃうんだよね」
「あの……」
「沢村さんは、映画とか観るの?」
どうしてもタイミングを逃してしまい、きっぱり面と向かって「私は熊谷さんとは付き合えない」と言うつもりなんだが、なかなか本題を切り出せないまま、もう三杯目となるお代わり自由のコーヒーを飲んでいる。
―いらっしゃいませ。お二人様ですか?―
周りのお客さんもどんどん入れ替わり、立ち替わり、出入りしていく中、熊谷さんの灰皿も、私が覚えているだけでも二回は店員が取り換えに来ていた。ちょうど灰皿の交換にまた店員が来たので会話が途切れ、今なら話せそうなタイミングが窺えた。また新しいお客さんが入ってきたのか、前から歩いて来る人の気配を感じながらも、視線は熊谷さんから外さず、今言うしかないと大きく深呼吸して口を開いた。
「あの、私……」
「結婚を前提に、お付き合いしてもらえないか?」
「えっ……」
「珠美?」
名前を呼ばれて視線を熊谷さんから斜め後に移すと、そこには和磨と綺麗な女の子が立っていた。
「和磨」