君がたとえあいつの秘書でも離さない
 
 皐月はじっと考え込むと、こちらを真面目な顔をしてみた。
 
 「遙。これはかなり気をつけた方がいいかもしれない。私も出来るだけのことはしてあげる。危ないときに私へ知らせる方法を考えよう。サインでもいい。目を三回続けてつぶるとか。すれ違ったときに教えてくれるか、内線連絡くれるか。防犯ブザーを持つとかさ。身を守る方法を考えるべきだよ。それと、匠さんにキチンと相談して、対処すべき。いつまでも取締役の秘書してたらだめだよ。やめた方がいい。秘書室長に相談したら?」
 
 「……今の大きな案件が終わらないとどうにもできない。堂本も関わってるし。刺激すると怖いし」
 
 「もっと早く相談してよ。どうして、こんなになってから、もう。これは、直也さんも味方につけてなんとかするしかない。原田取締役はどうしようかな。でも、あの兄弟には手も足も出ないか」
 
 「大丈夫。とにかく、気をつける」
 
 「気をつけるだけじゃなくて、何かあったとき連絡取れるようにしないとだめ。よし、とにかくサインを決めよう」

 そう言うと、例の瞬きサインやら、内線サインやら色々決められた。
 そして、弘取締役のやっていることは、セクハラだよと言われた。
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