君がたとえあいつの秘書でも離さない
「奥様、ご挨拶が遅れて申し訳ございません。古川遙と申します。匠さんとは親しくさせて頂いています。たまに奥様のピアノもお借りしています。それと、私小さい頃奥様のリサイタル行ったことありました。ファンなんです。今度是非ピアノ聞かせて下さい」
そうだ、見たことあると思ったのは、昔の記憶。そして、匠さんに似ているからだ。
「ふふふ。まあ、可愛らしい方ね。是非うちにいらっしゃいな。いつでも聞かせてあげるわよ。今日は時間ないわよね?今度お約束しましょう。柿崎、連絡先お聞きしている?」
「いいえ。でもお住まいは存じております」
「柿崎さん、私の電話番号お知らせします」
そう言って、名刺の裏に書く。
それを柿崎さんにお渡しした。