君がたとえあいつの秘書でも離さない
 
 「その弘君が、自分の秘書である古川遙さんにかなり前から片思いをしていて、役員就任を機に恐らく告白する気だったようです。彼女曰く、先日好きだと告白され、敵対会社だから僕と別れるよう脅迫されたと言っていました」

 父はニヤニヤしながら見ている。
 なんで楽しそうなんだ?
 人ごとだと思っているな。
 
 「付き合っていることをなぜ次男は知っていたんだ?彼女が話したのか?」

 「彼女をつけていたみたいで。ストーカーまがいのことをしたようです」

 「次男はかなりやばいヤツだな。で?お前の彼女は尻尾を巻いて逃げ出したか?」

 「父さん!」

 「お前が、そんなヤワな女と付き合うとは思えない。逃げたりしないだろう。石井の次男のことは石井の社長から聞いてはいた。長男も父親と似たもの同士だが、どうやら次男は違うと。昔、お前が言っていたのもその次男のことだろ」

 「お父さん。よく覚えてましたね?そうです。高校時代の……」
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