君がたとえあいつの秘書でも離さない
side 弘
弘は、ベッドのうえで寝乱れた彼女を眺めると、水を飲むためにおりた。
「清花。その後、匠さんの様子はどうだ?」
「そうね、入札のための準備が進んでいますし、他の案件もあり忙しいみたい」
「例のモノは手に入りそうか?」
「方法は考えてあるのよ。だけど柿崎秘書室長が邪魔なの」
「あいつか。腹心だな。親子で堂本に仕えているんだろ。お前、落とせないのか?」
「……ひどいわ、弘さん。私だって好みがあるわ。それにあの人は落としたとしても、無駄よ。プライベートよりも仕事のほうが大切そうだもの。ねえ、そんなことより貴方の側にいるあの秘書、匠さんのマンションに入っていくのを昨日見たわよ。間違いなく付き合ってる」
そんなこと言われなくても分かってる。
キスマークまでつけて俺に見せようとしたんだ。
匠さんは俺と戦う気満々だ。