君がたとえあいつの秘書でも離さない
父は兄に似た人物。
つまり、そういうこと。
現社長同士では恐らく堂本コーポレーションには勝てない。
だが、俺がもしトップに立てたなら?
勝負はわからない。
兄は匠さんをやり込められるなら自分が退いて俺を頭に据えてもいいと思っているようだ。
それには、どうしても目に見える成果が必要だ。
父がそれを認めれば将来が変わる可能性もある。
今回の公開入札はそのとっかかりにはいい案件だ。
うちの営業のほうの人材も悪くない。
古川さんの元カレの営業センスは抜群だ。
出世も間違いない。
そのまま、彼女と付き合っていれば役員辺りにまで出世して結婚ということも考えられた。
だが、彼女を渡すつもりはなかった。