君がたとえあいつの秘書でも離さない
 
 許せるはずもない。
 アップにしたうなじには、匠さんのキスマークが散っている。

 また、煽られた俺は、彼女を抱きしめてしまった。
 そして告白した。

 彼女の驚きは想定内。
 そして、俺の秘書である以上、敵対会社のトップと付き合うのは許されないと釘を刺した。

 彼女は悩んでいるだろう。
 仕事はいつも通りキチンとこなしている。
 
 俺も素振りは出さない。
 公私混同はしないと彼女に誓っているからな。

 やりたくはないが、清花を使って、堂本コーポレーションを蹴落とすしかない。
 普通のやり方ではまだ、匠さんには勝てない。
 
 それは分かっている。
 
 もう数年経てば勝負できるだろう。だが、彼女を渡すことは出来ない。
 無理でも今やらねばならないのだ。

 シャワールームへ消えた清花の使い方に気をつけねばならないとウイスキーグラスを片手に戦略を練り直した。
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