君がたとえあいつの秘書でも離さない
清花と逢った三日後には、彼女と連絡を絶ち、切ることに決めていた。
おそらく、清花の役割を匠さんに気づかれた。
昨日の清花の電話では、入札関連の書類は専属秘書の柿崎以外触れなくなったと言っていた。
危機管理のためと説明があり、自分以外の秘書も同様だというが、そんなわけがない。
ウチの会社でさえ、だんだんと入札の締め切りが近くなり、猫の手を借りたいほど忙しくなってきている。
自分の秘書に手伝いをさせられない事態など、考えられない。
古川さんにも手伝わせているが、彼女はおそらくウチの内容は絶対にあちらへ漏らさない。
だが、今回の入札で勝つのは難しいだろう。
負けるとわかっているほどの差はない。
こちらの営業一課も悪くない。
ただ、今までの実績やノウハウがあちらにはある。
そういう、積み重ねの部分はどうしても差が出る。
作戦を変えるまでだ。