君がたとえあいつの秘書でも離さない
原田取締役の父親はうちのメインバンクの頭取だ。
「原田君、君の彼女が欲しがっていたあの限定モデルのバッグ、手に入りそうだけど、いる?」
「え?本当ですか?いつ頃手に入ります?」
「そうだな。あっち(英国)にいる友人が見つけてくれた。購入してもらって、こっちに送ってもらうからそうだな、友人も忙しいの二週間くらいは見て欲しい」
「ありがとうございます。彼女の誕生日に間に合います。最高のタイミングだ」
「もし、手に入ったときの条件覚えてる?あのバーで話していたとき、君かなり酔っていたけど」
「覚えてますよ、もちろん。僕は今回の彼女の誕生日プロポーズする気だったんでね」
「知ってるよ。だから頑張ったんじゃないか……」
「条件のためでしょ?ま、いいや。どうせ古川さんのためでしょ結局。その条件もそれに使うんだから」
「女のためだけじゃない。会社のためだよ。石井が上位に立つためだ。原田君、君の将来にも繋がるよ」
「そうかもしれませんね。わかりました。ではバッグは必ず来るんですね?」
「ああ」