君がたとえあいつの秘書でも離さない
「遙のことはたしかに心配だ。彼女に連絡して今日にも考えを聞くつもりだ」
「入札のことを諦めても、きっと何かしてきます。警戒はして下さい」
「ああ。父には報告を頼む」
「わかりました」
その夜。
こちらから遙に連絡を取ろうとしたが、雑務で残業になり、遅くなってしまった。
電話が鳴った。
珍しい。二十二時前。
……しかも遙だ。
こんな時間に突然電話してくることは今までなかった。
俺の仕事を考えて、必ずメールしてから連絡がある。