君がたとえあいつの秘書でも離さない
 
 「遙のことはたしかに心配だ。彼女に連絡して今日にも考えを聞くつもりだ」

 「入札のことを諦めても、きっと何かしてきます。警戒はして下さい」

 「ああ。父には報告を頼む」

 「わかりました」

 
 その夜。
 こちらから遙に連絡を取ろうとしたが、雑務で残業になり、遅くなってしまった。
 
 電話が鳴った。
 
 珍しい。二十二時前。
 ……しかも遙だ。
 
 こんな時間に突然電話してくることは今までなかった。
 俺の仕事を考えて、必ずメールしてから連絡がある。 
< 138 / 274 >

この作品をシェア

pagetop